「よりまし」の安倍政権 | NewsCafe

「よりまし」の安倍政権

社会 ニュース
総選挙が終わりました。
結果はすでに伝えられているように、与党自民党と公明党が解散前の「3分の2」を維持したことになります。
解散総選挙の主な争点は「アベノミクス」(安部政権の経済政策)の是非でしたが、民は「是」、あるいは、少なくとも対案がきちんと出せなかったという意味で「野党よりはマシ」という判断になったのではないかと考えます。

投票率は、史上最低だった前回をさらに更新し、52.55%でした。理由はいくつか考えられますが、最大は問題は争点がはっきりしないところにあったと思われます。
もちろん、与党側は「アベノミクスの是非」を強調していましたが、野党第1党の民主党は、それに代わる経済政策を提案できたとは言いがたい形になり、政権選択選挙だった、前回、前々回とは違い、「選挙ムード」ではありませんでした。

各社が報じた事前の世論調査もほぼ同じになっていました。与党、あるいは自民党だけで300議席を超えるとの予想が出されていました。
これはつまり、解散前とほぼ変わらないことを意味していました。もちろん、アベノミクス以外にも、争点はありました。
集団的自衛権の閣議決定の是非、社会保障改革、東日本大震災からの復興....。様々な争点があったとは思いますが、どうも、野党からは「アベノミクス反対」以外には伝わらない形になったのではないかと思えるのです。

投票率が下がると、組織票が機能します。公明党は小選挙区で全勝。共産党は比例で倍増しました。
しかし、自民党も前回よりも票を集めました。
前回の選挙は、自民党や民主党という二大政党思考ではなく、「第3極」が関心を集めましたが、今回は「みんな」が解党し、「次世代」は票を集められませんでした。
そうした「第3極」に期待した有権者は今回、自民党へ投票していると思わせます。比例でも自民党が第1党になったのはその反映ではないかと思います。

おそらく、唯一、説得力があったとすれば、共産党の「安部政権の暴走ストップ」というスローガンだったのでしょう。
だからこそ、比例区で倍増し、野党第3党となったのです。

ただ総じて、有権者は長期政権を望んだことになります。5年5ケ月続いた小泉政権(自民・公明・保守)を除けば、近年は短命な内閣が続きました。
野田佳彦内閣(民主・国民新党)は1年3ケ月、菅直人内閣(民主・国民新党)も1年3ケ月、鳩山由起夫内閣(民主・国民新党・社民)は9ケ月、麻生太郎内閣(自民・公明)は1年、福田康夫内閣(自民・公明)は1年、安倍信三内閣(自民・公明)は1年、森喜朗内閣は(自民・公明・保守など)1年、小渕敬三内閣は1年9ケ月(自民・自由・公明など)、橋本龍太郎内閣(自民)2年6ケ月、村山富市内閣(社会・自民・さきがけ)は1年7ケ月...。

政権の安定性という意味では小泉内閣ほどまではいかないまでも、例えば、自民党総裁の任期である3年は続けて欲しいものです。その意味では、平成に入ってからは、小泉内閣だけです。

小泉内閣は郵政改革に着手しましたが、非正規雇用が増大し、連続して年間自殺者3万人を生み出したために、私自身の評価は高くはありません。
しかし政権の安定性という意味では、よかったのではないかと思えます。交渉窓口の首相がコロコロ変わるようであれば、安定した外交政策はできません。
内政面でも、官僚のモチベーションがあがりません。

安部政権はようやく2年です。その意味では政権運営としては安定するとは思います。
有権者は、もちろん、民主党には渡せないという判断もあったと思いますが、政局の混乱を避けたのではないでしょうか。
それが、前回よりも投票率を下げながらも、自民党に票が集まった心理ではないかと思います。ただ手放しで政権運営を任せているわけではないようです。

17日に発表された読売新聞の世論調査が興味深いです。自民党が大勝した理由について「ほかの政党よりまし」が65%を占めました。
自民党支持層でも64%が同じ回答です。「安部首相への期待が高かった」は14%、「経済政策が評価された」が11%で、積極的な支持ではなかったようです。
しかも、自民党の支持率は解散後は41%でしたが、選挙後は36%で6ポイントダウン。勝ちすぎを世論は評価していないようです。

それにしても、「民主推し」あるいは「アンチ自民」のネット世論の一部にはがっかりさせられました。
与党の圧勝を支えた有権者を馬鹿にすることです。たしかに、現在の与党の政策を推進すれば、生活が苦しい人が増えると私も思っています。
しかし、それが正しいとしても、有権者を動かすほどの説得力がなかったことや、動員力がないことを反省するべきなのです。
にもかかわらず、「与党に入れるのはまちがっている」と声高に叫んでいるのは嫌な感じがしました。
思考停止せずに、なぜ有権者は与党に投票したのかを考えないことには、例えば民主党が躍進することはないでしょう。

[ライター渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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