【解説】男性のプライドが治療の妨げ | NewsCafe

【解説】男性のプライドが治療の妨げ

社会 ニュース
つい数年前までは「不妊手術とは子供ができないようにする手術のこと」と誤解していたので「最近の高齢の女性の妊娠のための処置・生まれて来る子供の事前の先天的な病気の有無の事前検査…」はまさに「神の領域の仕事ではないか…」と思えるのである。身の回りを見ても流石に「この子は誰の子?」で遺伝子検査はないが「高齢妊娠・出産」に賭ける「高齢男女の努力と費用」は大変なものだと感じるのである。

偶然だが畏友の娘さん2名は「オーバー38才・なかなか子供ができず」で世田谷にある「国立成育医療研究センター・不妊診療科」に2年間通い「めでたく子供に恵まれた」のである。一人は転勤さきからセンターに通うのが大変だったようである。二人とも「高齢出産・不妊手術」と言う事で「血液検査による先天的な病気の有無検査」を受けたようである。そんな不妊問題では「不妊の原因は女性側に求められがち」だが「世界保健機関によると不妊の原因の48%は男性側にある」と言う事である。

識者は『こうした現実と認識のずれ・男性の持つプライドなどが治療を遅らせる結果につながっている。厚生労働省によると「全国の不妊専門相談センターに寄せられた相談は平成24年度が21,452件で、平成9年度の1890余件から10倍以上に急増」している。WHOの国際調査によると「男性が体内に通常保有すべき精子の最低基準値」は1998年から2011年の間に約20%も下がっている。環境ホルモンなどの影響ともいわれるが原因は判然とせず男性不妊患者は潜在的に増えている』と言う。

不妊治療の専門家は『不妊治療では男性も当事者意識を持ち・夫婦同時に診察を受けることが重要。現実には女性だけが治療を続ける習慣が今も残っている。「男のプライド・自分は大丈夫という根拠のない自信」が治療を遅らせ女性のタイムリミットが近づいてしまうのである。不妊の原因の半分は男性側にあるのだが「それを知っている男性」は実に少ない。その病名は「乏精子症」「無精子症」…。女性の問題として語られることの多い不妊だが、実際には同じくらいの割合で男性側に原因があるということである。男性にとってはもちろん大きな悩みだが「実際に治療を進めると原因のない妻の方により重い負担がかかること」はあまり知られていない』と言う。

不妊手術の現場にいる医師は『1年たって赤ちゃんに恵まれなかったら「男性も情報収集すべき」だと思う。自分で泌尿器科を受診して「大丈夫なのか・何らかの男性不妊のサインがあるのか」を診断してもらうことが必要である。男性が「無精子症」の場合の標準的な手段が「顕微授精」である。顕微授精は「原因のない妻により大きな負担を強いる」。妻は排卵誘発剤を定期的に注射しなければならない・流産を防ぐ薬も飲まなければならない・治療でお腹は張り体のだるさが続くこともある。しかし「男性不妊の治療技術は進んでいる・新しい治療法が生まれる時代」である。子供ができない夫婦は「共同のテーマとして早期に医者に相談することが重要」である』と言う。きっと二人の家庭にも「さまざまなドラマがあった」と推察するのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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