被災地での観光客が減っている? | NewsCafe

被災地での観光客が減っている?

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ゴールデンウィーク(GW)が6日で終了しました。今年は4月26日から29日の前半と、5月3日から6日までの後半に分かれました。ガソリン価格の高騰や消費税があがったこと、高速道料料金のETC割引率の変更によって、国内で遠出する人が減ったとも言われています。みなさまはどうでしたでしょうか。

フリーライターという職業をしていると、GWをカレンダー通りに休んだことがほとんどありません。今回も前半、後半ともに被災地での取材で時間を費やしました。昨年まで変わったことと言えば、被災地観光をしている人はいるものの、大型の観光バスで訪れる人が減った、ということでしょうか。

たとえば、宮城県気仙沼市の鹿折唐桑駅付近に打ち上げられた大型漁船「第十八共徳丸」が解体されました。現在、その跡地は代替道路ができており、その面影もありません。そのため、同駅付近に立ち寄る観光客の姿は目にしませんでした。近くの復興商店街も観光客の姿は疎らでした。

また、釜石市鵜住居の「防災センター」跡地も、大型観光バスが立ち寄ることがあありませんでした。ただ、JR鵜住居駅のホームが遺されており、その場所がやや高台になっており、そこを拠点に被災の話を聞く観光バスが立ち寄ります。しかし、規模は縮小しています。視覚的に分かる被災地観光は、震災遺構の解体とともになされなくなりました。

こうしたことも影響してか、これまでは宿泊できなかった被災地の宿泊施設も、4日と5日以外は比較的に空きがある状況でした。これは、観光客が宿泊しないばかりか、復興作業員がGW中は自宅に戻るためでもありした。私が泊まったホテルは、4、5日以外の宿泊客のメドが立たないとおっしゃっておりました。

「作業員が戻ってくるのかどうかもわからない」。そうした声も聞かれました。被災地での作業よりも、オリンピックに作業員をとられている、というのです。東京にいると、そこまでオリンピックの作業員であふれている印象はありません。ただ、オリンピックの影響が出ているようで、資材の高騰などによって落札できない、といった話も聞いたりします。

ボランティアの数も減って来ています。もちろん、当初必要だったのは瓦礫撤去です。これは人数や力が必要でした。しかし、徐々に専門的な支援が必要になってきているといった状況です。そうした中でも、NPOや社団法人などの活動も停滞気味です。助成金が下りなくなってきているからです。当初から地元では、「三年経って被災地に残っている団体がいくつあるのか?」というのは注目している人もいました。経済的に、または質的に淘汰されてきています。

外部から人が減ったことは一概に悪いことではありません。仮に、震災前と同じような生活が戻っているとすればそれは日常化です。しかし、生活は元にもどっていませんし、コミュニティとしてもかろうじて維持できている場所が多くあります。また、地元の人が自立や復興に向かっているエネルギーがあるのであれば、外部の力を必要としません。しかし、むしろ被災地から外部へ流出しています。活気づいているわけではないのです。

これまでは被災地で取材をしていると、他のメディアとバッティングすることもありました。しかし、今回はほとんどありませんでした。ニュースにすることがないのであればそれも当然です。ただ、課題は山積みなのです。風化するのは仕方がないことですが、解決していない問題がある中での風化は、被災者が置いて行かれてしまうだけになります。

私を含め、被災者ではない人たちが何ができるのでしょうか。そんなことを考えたいと思い、5月14日、『震災以降~終わらない3.11ーー3年目の報告』出版記念トークライブ「これから僕たちにできる事」を開催します。共著者や被災経験者が登壇します。場所は阿佐ヶ谷ロフトA(JR中央線阿佐谷駅・パールセンター街徒歩2分)です。ホームページか電話予約(03-5929-3445、17:00~24:00)で受け付けています。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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