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アメリカナイズされる若者たち

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「Americanize=アメリカナイズ」という言葉をご存じだろうか。その意味は、綴りから見て取れるとおり「米化」という意味だ。平たく言うと、"アメリカを真似る"といった感じだろうか。目に見えるところでは、衣・食・住などの文化面で、アメリカを真似た文化が多く取り入れられている。ハンバーガーを筆頭にスナック菓子などのジャンクフード、ジーンズにツーバイフォーの木造住宅だってそう。音楽に至っては、フランク・シナトラや、小泉元首相も大好き、エルビス・プレスリーなどが印象的だ。他にも、アメリカ合衆国の政治、経済を模倣したりすることも米化に該当する。米化は多方面に及び、一つ一つみていけば切りがない。では、最近になって新たに米化した文化はあるのか?そのような疑問を念頭に、筆者はアメリカのネット掲示板を覗いていた。すると、このような言葉が目に留まった。

「Japanese Teens Who Want to Be Black」(黒人になりたがる日本の若者)

日本に伝わった黒人文化は主に、音楽(ヒップホップ、R&B)やファッションなどだ。ヒップホップの軽快なリズムに合わせ踊るヒップホップダンスは、今や体育の授業で義務化されるなど社会的に認められてきている。一方で、「だらしない」などとして受け入れない人々が多数であり、風当たりは未だに強い。

オランダ出身の写真家「Desire van den Berg(以下Desire)」はアジアを7ヶ月旅する過程でアジアにおける若い文化を取材していた。Desireは、取材していく中で日本に存在する黒人文化に着目した。遡ること4ヶ月。Desireは都内某所で「HINA」という23歳の日本人女性と出会った。彼女の肌は真夏のサーファーかと見紛うほど"完膚なきまでに"日焼けしており、髪型はブレイドといった髪を細く三つ編みに何本も束ねる黒人女性によくみられるヘアースタイルに仕上がっていた。以下は、Desireのコメント。

私は、以前から日本における黒人文化に興味を持っていて、ついに、HINAとFacebookで繋がったの。その後、HINAと会って、写真を撮りたい旨を伝えたの。そしたら、少し口げんかになってしまって・・・HINAは英語を話すけど、流暢とは言えない。なぜなら、黒人が使うような汚い隠語ばかりを並べて話すからさっぱり。実際は、通訳が必要だった。HINAがBボーイと話をしている時も、センテンスの最後に相手を罵る隠語を冗談交じりに使っていたり…。言葉遣いも然り、ファッションや日焼けした肌は少し行きすぎた感じもします。HINAは毎週、日焼けサロンに通い肌を焼き、髪は特殊な美容院で仕上げているそう。更に、目を大きく見せるようにカラーコンタクトをつけて協調する。とても大変なことだ。でも、HINAの母は、彼女の黒人化を認めていた。「彼女は年頃の子だもの」ってね。しかし、多くの日本人は、「奇妙なモノ」をみるかのように冷たい視線を向けていた。日本にとって、外国人が異色なようにHINAのような人間が理解されることは難しいようだ。

また、このエピソードを読んだアメリカ人からは、このようなコメントが寄せられた。

・白人:日本人が日焼けするとフィリピン人のようだね(笑)
・黒人:熱心に真似ようとしているが、でも彼らの家に私らを歓待してくれる人が何人いるかな?
・黒人:よー!兄弟よ!歓迎するぜ!
・黒人:残念だけど、黒人文化をただのヒップホップや服装やダンスだと捉えるのは、ものすごい差別じゃない?
・韓国系:日本はマジでアメリカのコピーをやめて日本らしさをだしていこうよ

アメリカ大衆文化研究者である亀井俊介氏は「日本人はアメリカの生活文化を受け入れる過程で日本化してきた。すなわち、アメリカをジャパナイゼーションすることであった。」と語るように、日本人は和洋折衷の生活様式を生み出してきた。しかし、近年、アメリカ文化を誇示する風潮が若者の間で見受けられる。横文字の乱用や、なにかと「自由」を引き合いに出すなど、コミュニケーションにおいて世代間の溝がどんどん深まってきている。HINAを例に、行きすぎた傾倒は、海外でも失笑を買ってしまっているのが現状。かといって、人の個性をケチョンケチョンに貶し、集団から排除しようとする日本の文化は、自由の国・アメリカからジャパナイゼーションする必要がある。ただし、履き違いには注意したい。


参考元:Vice.us/B-Stylers Are Japanese Teens Who Want to Be Black
Photographed by Desire van den berg
【執筆者:王林】
《NewsCafeコラム》
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