中国・言論統制の実態(前) | NewsCafe

中国・言論統制の実態(前)

海外 ニュース
3月1日、中国・雲南省で死者34人、143人の重軽傷者をだした「2014年昆明駅暴力テロ事件」が起こった。この事件はウイグル族が中国共産党から受けた人権侵害の報復を意味するテロであり、昨年から断続的にテロ事件が発生している。テロ事件が起こる背景には、人民における「言論統制」などの自由・人権を奪い、黙殺していることにある。違反者には暴力・抑留をもって鎮圧させ、ウイグル族などに対する宗教上の理解も、暴力で権力を誇示する独裁が横行している。このような、人権を脅かす中国の独裁制に危惧を抱き、真っ向から異を唱え中国共産党と対峙する中国の不良(ヒーロー)がいる。彼の名は「艾未未(アイ・ウェイウェイ)」。世界的にも名を馳せている中国の現代美術家であり、民主化・公民運動の旗手を担う人物だ。中国民主化の波が押し寄せるいま、血の滲むような努力を公民運動に捧げた艾未未(以下:アイ)の活動を振り返る。

■四川大地震の悲劇
2008年5月12日、四川省でマグニチュード8.0規模の大地震が発生し、9万人規模の犠牲者をだした。中でも学校校舎の倒壊が四川省だけで6898棟に上り、校舎倒壊による教師と生徒の被害が犠牲者全体の1割以上を数え、6000人近くの児童が犠牲となった。元を辿ると、学校建築における手抜き工事の横行が指摘されており、中国政府は被害の全貌を明らかにせず隠そうとした。政府の対応に不信を抱いたアイは犠牲となった児童らの調査を進めた。この手抜き工事で犠牲となった児童生徒名簿をつくっていた際、少なくとも25人が公安に逮捕され、殴打・抑留は45回に達する。調査の拠点となっていたブログが当局により削除されるなど、度重なる仕打ちを受けながらも、5000人以上の名簿をつくりあげ、当局への責任追及を続けた。しかし、この調査に関与し、逮捕された同志の弁護の為、四川省・成都に赴いたアイは、警察に闇討ちされ、頭部を負傷しミュンヘンで脳内出血の手術を受ける。その後も2010年に自宅軟禁を余儀なくさている。

■社会から消される恐さ
アイは2011年4月、香港へ出国しようとしたところ突然拘束され、行方不明になる。北京にあるアイのスタジオ入口前後50メートル先には多数の私服警官が展開し、立ち入り禁止区域が設けられた。さらには、ミニブログで「艾未未」をキーワード検索すると、「関連法規および政策に基づき、検索結果は表示しない」と表示されるなど、アイに関連する情報は遮断された。この事件は、瞬く間に国外に波紋が広まり、多くの抗議の声が中国政府に集中した。あるアメリカの著名な建築家は、「中国でのプロジェクトの一切を中断し、艾未未が釈放されるまで中国に関連するすべてのプロジェクトを一切受けない」と強固な姿勢を示し、独・英・仏・米の外相は、中国当局へアイを直ちに釈放するよう求めた。しかし、中国当局はアイを釈放するどころか、統制を強めた。その後、アイは81日間の入獄を経て仮釈放される。そこで、信じられない出来事がアイの周りで起きる。【後編へ】
《NewsCafeコラム》
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