【解説】「プライバシー権侵害」にご用心 | NewsCafe

【解説】「プライバシー権侵害」にご用心

社会 ニュース
今やスマートフォン&タブレットの普及台数は5000万台を超えた様である。カミサンも「ついにスマートフォンに買い替え」である。買い替え理由は「旅行と孫の写真・息子の嫁さんとのLINE」である。デジカメが売れなくなり「キャノンの株価が下がるのは致し方なし」と思うのである。過日の飲み会では「スマホの被害を受けた産業」が話題となった。

消費動向に詳しい畏友は『スマホの登場によって、カーナビが売れなくなったと言われている。GPS情報を利用でき、画面が大型化し、アプリの品質も向上すれば、置き換わるのは仕方がないだろう。スマホがその機能的な価値によって既存の商品を代替したケースだ。これ以外に「スマホと時間の取り合いになった」ケースがある。従来型のゲーム機はここに当てはまる。本や新聞を読む人が電車の中でめっきり減ったように「スマホの提供する文字情報が、本や新聞を読むという時間を取った」とも言えるだろう。また「スマホと可処分所得の取り合いになった」ケースもある。ここ数年、サラリーマンのランチ代が下がっていたと言われている。多くのお金がアプリやゲーム代に流れているからである』と分析してくれた。

そんな飲み会の席でも「若い女性は料理等を写真にとり・即座にフェイスブックにツイート」しているのである。別にやましいことはないが「人物はダメ」とお願いしている。フェイスブックを見ると「意外に人物映り込みの写真」が多いことに気がつく。仲間なら良いが、中には「有名なタレントを見た」との「無邪気なお宝映像」もあるのである。

専門家はこの様な「悪意なき無邪気な行動」に関して『たまたま有名人を見かければ、つい興奮してしまう気持ちはわからないでもない。だが、彼らにもプライベートな時間はあるはずである。有名人の「お忍びデート」の現場をツイッターでさらした店員は、その有名人から「慰謝料を払え」と訴えられる可能性がある。人には「私生活をみだりに公開されない権利」があり「プライバシー権の侵害」として、民法上の不法行為(民法709条)に該当し「損害賠償が認められる可能性」がある。プライバシー権は「私生活をみだりに公開されない法的な保障ないし権利」として、裁判を通じて確立されてきたものである。無制限なに認められる権利ではないが「ある事実について公表されない利益と公表する理由とを比較考量」して「公表されない利益」のほうが重いと判断した場合に限って不法行為になるとされている。政治家や芸能人のような公の人物については「一定限度においてプライバシー権を放棄しているとみるべきだ」という見解もあるが、最終的には損害賠償が認められるかどうかは「個別の具体的な事情に応じてケース・バイ・ケースの判断」になる。最近は「一般の人々がネットでうっかり他人のプライバシーを公開してしまう」という状況が多々見られる。SNSは速報性と拡散力を備えたメディアであり「情報を書き込む際には十分注意が肝要」である』と警告する。無邪気なツイートをしているA嬢やBさん・ご用心を…。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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