憎み、殺し合う兄弟・姉妹 | NewsCafe

憎み、殺し合う兄弟・姉妹

社会 ニュース
「ヤスダコウドウマエニ コイ」

こんな電報がBの下宿先に届いた。兄からだ。京都大学に通うエリートの兄が京都からわざわざ東京にやってくるのは一体何のためなのか?これ程にも仲が悪いのに・・・。

自民党の某政治家の一家に生まれたAとBの兄弟は物心ついた時から仲が悪かったという。
同じ環境で生まれ育った兄弟でも性格・気質の違いは当然ある。普通、そのような性格・気質の違いがあっても互いに受け入れて成長していくものだと思いがちだが、それができるのは我々が考えている以上に難しいことなのかもしれない。

兄弟で互いに憎み合う。このABの兄弟は典型的な不仲だった。
兄は静かな性格。対して弟は良くも悪くもやんちゃな性格。二人共優秀だったこと以外に共通点はない。
「兄貴は頼りない」「愚弟は礼儀を知らない」など、お互いに不仲のまま成長し、あまりの険悪な雰囲気に親が離れて生活するよう仕向けるまでになった。
不仲だとライバル心も高まる。「~に関しては俺の勝ち」「~は俺の方が上」・・・など何に関しても競争、相手を蹴り落とそうとする兄弟に、親はただならぬ将来を予想したのかもしれない。そうでなければ離れるようするなど普通は考えない。

「この子たちは将来、仲の悪さからとんでもない事態を起こすのではないか」

そして、その不安は的中した。

兄Aは登山ナイフをポケットに忍ばせて弟に電報を打った。
「どうしてもアイツが許せない。俺が懲らしめるしかない」。まさに決闘を申し出たのだ。

兄が宿泊する本郷の旅館の部屋で案の定、決闘するまでもなく喧嘩が始まった。弟が兄をふざけて挑発したことに対して兄が逆上。
兄はとうとう忍ばせていた登山ナイフを使ってしまった。
弟に馬乗りになって刺すこと10箇所以上。弟を殺害してしまったのである。


「一人っ子はダメですよ。きょうだいという集団の中で育つことが重要なんです」

そんな「きょうだい重要説」は教育や子育てではよく聞く話である。
教育以外にも「老後は支えあう親族がいることが大切」など、いわば将来の''保険''としてきょうだいの存在の大切さを謳う考えもある。

しかし、これは

「そのきょうだいがある程度互いに認め合い、仲が良好」という前提、希望的観測を元にした考えである。そして「きょうだいとは仲がいいものだ」という一種の偏見でもある。

お互いに憎み合い、できれば死んでほしいとまで思っているきょうだいが世の中には想像以上に多いことに気づいている人はどれだけいるだろうか?
親からの愛情の差、成績・容姿の差、親の介護の負担、そして親の遺産の問題・・・。
これらの''差''を乗り越えられるきょうだいは少ない。

今も昔も親族間のトラブルはあまり表面化しないだけで頻繁に起きているものだが、核家族化と個人主義が進む現代の日本においてもこの問題は依然として散見される。

「姉を殺したいです」
「弟ばかりが可愛がられたことがいまだに許せません」
「兄がいなければよかったのに」

・・・など「いなければよかった」きょうだいの話は尽きない。

「大人になってみて、改めて一人っ子でよかったと思った」

という意見はなかなか的を射た、現実的なものなのかもしれない。
兄弟・姉妹による骨肉の争いに、あなたは何を思うだろうか?

NewsCafeでは犯罪分析コラム「NewsCafeユーザーによる事件アナリシス」を連載しています。皆様からのコメントをお待ちしております。

※本郷兄弟決闘殺人事件
1969年、自民党の政治家を父に持つ仲の悪い兄弟の喧嘩が決闘へ発展し、最後は兄が弟をナイフで刺殺する事態へと発展した事件。
兄は殺人罪と銃刀法違反で逮捕・起訴され、懲役6年の判決が下った。
政治家の父は一時政治生命が危うくなったが、世間の同情の声もあり、次期選挙には当選している。
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