今から12年前の5月、青森県弘前市中の消費者金融の店舗で炎が上がった。
とあるタクシー運転手が火をつけたのだ。
借金苦、返済にまわす金を強盗で奪取しようとしたことが凶行の原因だ。
借金苦に陥った発端は自身のギャンブルによるものだったという。
犯行前日にガソリンスタンドでガソリンを店内にまき、「金を出せ」と職員に要求したが、その時には既に店内は火の海になっており、このタクシー運転手は一目散に現場から逃走した。
結果、この犯人の身勝手な行動により、職員5人が焼死するという大惨事となってしまったのだ。
この事件をきっかけに各種金融機関では消防の強化対策が図られるようになったが、そもそもなぜ借り手からこれほどにも恨まれるのか、という視点も同時に考える必要があるとの声が上がった。なぜなら消費者金融からの借り入れ・返済で首が回らなくなった債務者の自殺が多数発生していることがわかったからだ。
しかも消費者金融が借り手に融資する際、生命保険に加入させていたことも判明した。
これには「厳しい取立て→債務者が窮地に追い込まれる→自殺→保険金が消費者金融に支払われる」という負のサイクルをたどることが予定されているのだ。
もっと踏み込んだ言い方をすれば、「死でもって返済しろ」ということになる。
このタクシー運転手、小林光弘(当時43歳)が借金まみれになったのは間違いなく己のだらしなさが原因だ。
しかし返せるあてのない債務者を「良識にのっとって門前払いにする」ことなく「受けて入れた」消費者金融企業の態度も、この事件を考える際に無視できないのだ。
この「金と人間」の運命を考えさせられる事件に、あなたは何を思うだろうか?
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※犯人の小林は裁判で死刑が確定している。
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