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日本の主婦は「世界無形文化遺産」

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政府が「国連教育科学文化機関=ユネスコの世界無形文化遺産」に提案していた「和食・日本人の伝統的な食文化」について「事前審査を行うユネスコの補助機関が新規登録を求める記載の勧告」を行った。順当に行けば「12月2日からのアゼルバイジャンでのユネスコ政府間委員会」で正式登録となるとのことである。先の「富士山の文化遺産登録」に次ぐオメデタ話であるが「昨今の有名ホテルレストランでの食材偽装事件」を考えると皮肉なことである。

『ユネスコの世界無形文化遺産は「2006年に発効した無形文化遺産保護条約により世界各地の祭礼・芸能・慣習などを登録し世界的に保護する制度」のことである。世界全体で260件余が登録され、日本では、すでに歌舞伎・能楽・結城紬・祇園山鉾巡行・アイヌの古式舞踏・那智の田楽踊りなど21件が無形文化遺産に登録されている。「和食=四季や地理的多様性による新鮮な海山の幸・自然の美しさを表した盛り付け・正月や田植えなど伝統的な行事との密接な関係」が推薦理由である。今回は韓国・キムチ文化も登録される』とのことである。

識者は『食に関する無形文化遺産はフランスの美食文化・スペイン&イタリアの地中海料理・メキシコの伝統的なトウモロコシ料理・トルコの麦粥がすでに登録されている。素朴な料理もあるのは「味よりは文化」だからである。和食が登録される理由は「和食が世代から世代に受け継がれる中で社会の連帯に大きな役割を果たしているから」とされる。飲食業関係者は『和食は四季折々の食材を使い、繊細で世界に誇れる料理である。全国の郷土料理・懐石料理が生活へ密着している事が認られたものだと思う。繊細な技術を持った料理人と「もてなしの心」がある限り和食は滅びない』と鼻息が荒いのである。

気になるのは海外での日本食ブームで「奇妙奇天烈な和食」が世界を跋扈していることである。『どの国に行っても「イタリアンはイタリアン・中華は中華として驚かずに食せる」が日本食・和食は極めてばらつきが多い食物』なのである。日本の料理文化に詳しい畏友は『今回の無形文化登録で気になるのは「いずれも高級料理・伝統的な儀式料理と言うイメージ」があることである。「名物にうまいものなし」ではないが日本食の神髄は「日常的な家庭料理にある」と思うのである。日本の家庭の夕食ほど「安価に作られた多彩なおかずが並ぶ」のは世界にない光景である。今回の指定は「ミシュランのランキング」ではないが「所詮商売用・外人がイメージする和食」の域を出ないと思うのである。日本食の素晴らしさは「家庭の料理の中に和の心がいきずいている事」と思うのである。京都で言う「家庭料理・オバンザイ」や、好物の「肉じゃが・おでん」も立派な和食なのである』と言う。

料理人には「料理の鉄人・3分クッキングの先生・おかずのクッキングの先生」がいるように、我が家の夕食には「名コックの奥さんの作る多様な日本的料理が出る」のである。世界に誇るべき和食のコックは「日本のベテラン主婦」と思うのである。最近は「コンビニやスーパーで買って出来あい料理」が幅を聞かせている家庭も多い。これからは「和食を作れる家庭の文化の後世への伝達」が大きなテーマとなると思うのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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