広がる波紋…「はだしのゲン」の閲覧制限"すべきではない"が8割超 | NewsCafe

広がる波紋…「はだしのゲン」の閲覧制限"すべきではない"が8割超

社会 ニュース
島根県松江市教育委員会が「はだしのゲン」閲覧制限を市立小中学校に求めた問題で、日本図書館協会は先月22日、制限撤廃を求める要望書を送付した。「自由に読書をしたい子どもが教師の許可を求めるのは心理的負担が大きい」と指摘。松江市教育委は「はだしのゲン」閉架措置をめぐり、改めてその是非を協議した。
同作はご存じの通り、戦争・平和を題材とした漫画作品の代表格だ。集英社の「週刊少年ジャンプ」誌上で1973年から連載がスタートしたものの、約1年半で打ち切り。以降は日本共産党や日本教職員組合(日教組)が刊行母体の雑誌「文化評論」「教育評論」で掲載されてきた特殊な経緯があり、一般的な漫画作品とは一線を画している。残酷なシーンの緻密な描写や、作家の故・中沢啓治氏の思想について、過去にも議論が噴出したことはあるのだが…。
そこでNewsCafeでも「『はだしのゲン』閲覧制限についてどう思う?」というアンケートが実施された。ランキングとともに寄せられた声をご紹介しよう。
※回答総数…1199件

【閲覧制限すべきではない 84.2%】
■親子で読むべき作品。これを閲覧禁止にするよりもっと、規制すべきものは沢山あるのでは?[女性/40代/主婦]
■やり過ぎ。考え過ぎ。過剰すぎ。そういう発想する大人が幼稚過ぎる。[女性/40代/会社員]
■撤去を求めた一部市民って漫画だけでなく貴重な戦争体験談にもケチをつけそうな気がする。[男性/30代/その他]
■モンペの言いなりになんでも規制するなよ! トラウマになるかもしれないが、残酷な事実があった事を子供のうちに知るのは重要。[男性/40代/会社員]
■読みたい子供が読んで、読みたくなければ読まなければ良いだけのこと。[女性/20代/フリーター]
■子供が知識を得るための選択肢は奪うべきではない。[男性/20代/学生]
■ただの漫画じゃないんだから。[男性/40代/会社員]
■現実はもっと凄惨だったはず。戦争の恐ろしさを後世まで伝えてく。[女性/10代/主婦]

【閲覧制限は妥当 9.1%】
■学校の図書室にある事が不思議![女性/20代/会社員]
■劇画が苦手。やはり生々しいのは如何なものか。[女性/40代/専門職]
■何気なく見るのではなく、それなりの見せ方があると思う。[男性/50代/公務員]
■本当に戦争の悲惨さを伝えるなら特定の偏った思想は逆効果。[女性/10代/学生]
■皆誤解してる。閲覧制限は撤去や閲覧禁止とは違う。教師が年齢に応じた指導をしながら読ませたり貸し出したりするという意味。妊婦の腹割って胎児を取り出すとことか、1年生が無防備に見るのどお? 1年と6年の差は大きい。[女性/40代/会社員]
■前半は原爆の悲惨さを語ってるけど、後半は天皇を戦争犯罪者とし、在日朝鮮人を強制連行された人たちとして、自虐史観の極みなので、小中学生が読むのは厳しいかと…。[男性/40代/会社員]

【わからない 5.4%】
■私は見たことがないので、わかりません。[女性/30代/会社員]
■なんで今更? 作者が亡くなって言い易くなったから?[女性/40代/会社員]
■何でもかんでも駄目って言うと余計見たがるような気もする。[女性/30代/フリーター]
■読みたい人は読んで、読みたくない人は読まないで良くないかな?[女性/40代/会社員]

結果「閲覧制限すべきではない」と答えた人は8割超。コメントの多くは「残酷なシーンが多いからと子どもを遠ざけるのはおかしい」「戦争の様子について後世まで伝えるべき」などの内容だ。一方「閲覧制限は妥当」と投票した人からは「子どもには描写が過激すぎる」という声もあったが、「戦後自虐史観の助長に繋がった作品」「天皇制を強固に批判する思想が描かれている」とする意見も寄せられた。
今回の騒動について各種メディアでは、「漫画の一部に過激な描写があるから」という理由で閉架措置をとったと報道している。しかし今回、市教委が指摘したのは「旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたり、妊婦の腹を切り裂くなどの描写があるが、日本兵がそのような行為を行ったという一次資料はない」という点だ。人それぞれ歴史認識が違う分、そういった過去の事実が「あった」「なかった」の問題と発展し、ますます論点がかみ合わなくなっている。
まだまだ波紋は広がりそうだが、今回の件を受けて「はだしのゲン」コミックスの注文数は3倍近くも増加しているという。子どもだけでなく、大人も作品の内容を深く読み込み、判断する機会となるのかもしれない。

[文・能井丸鴻]
《Newscafeアンケート》
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