朝日新聞デジタルで一年前の記事がアクセスランキングに上がっていた。その記事は、「<<いじめている君へ>>春名風花さん」というものだ。これはいじめを理由とした自殺が社会問題になって、「朝日」が著名人からのメッセージを掲載しているものだ。2006年にも同様にいじめ自殺が問題となったときに、「朝日」が「いじめられている君へ」という特集を組んでいた。件のシリーズはそれに続くものだった。
春名風花さんはタレントで、はるかぜちゃんとも言われたりします。なぜその記事がランキングにあがったのか。それはRBB TODAYというニュースサイトで、「はるかぜちゃん、遺書を書いていた......『いつ死んでも悔いがないように』」という記事がYahoo!ニュースに載ったからだと思われます。
日本のユーザーの多くは検索エンジンでYahoo!を使います。そのYahoo!でニュース記事が掲載されると、ページビューが上がります。また、そのニュースに関連する記事もリンクされることがあり、そうなると、その記事のページビューがあがります。Yahoo!に掲載されると、砲弾のようにページビューがあがることで「Yahoo!砲」と言われたりします。
記事によると、YouTubeの動画で、タレントの中川翔子さんとの対談がありました。インタビュアーは、プロインタビュアーでコラムニスト吉田豪さん。この中でいじめの問題も語っていました。はるかぜちゃんは独特の語りから、たびたびTwitterで炎上が起きたりします。殺人予告も経験しています。RBBの記事は6月5日ですが、Yahoo!では8月12日にアップされています。
二ヶ月のズレでYahoo!に掲載されたのは、はるかぜちゃんがTwitterで8月12日、次のように書いたことが関係があると思われます。
「昔、本当につらいとき遺書をかきました(ω)死にたくないけど、もし何かあって衝動的に死んでしまったら、残された人は、ぼくが何に悩んでいたか分からない(ω)いじめで死んだ子の遺書をみるたび、ぼくはまだ元気なうちに、絶対、きちんとした遺書を書いておこうと思いました。」
「おじいちゃんやおばあちゃんがエンディングノートを書くように、いまは必要なくても、まだ生命力と余裕のあるうちにぼくは遺書を書いてるのぬ(ω)大切な人に感謝の言葉を、嫌な人には言えなくて何度も飲み込んだままの言葉を(ω)死んだらもう傷つけられることないから、何でも言えるし!」
はるかぜちゃんはTwitterで遺書を書いたことを告白しました。このことに好意的に受け止めるユーザーばかりではなく、批判的なユーザーもいます。また、また炎上になったことで同情する意見もあったりしています。賛否が割れる問題ほど、Twitterでは話題になったりします。そのため、朝日でのランキング上昇に影響したのでしょう。
Twitterにもあるように、はるかぜちゃんが遺書を書いたのは「死にたい」と感じたわけではないようです。動画をみえると、最初はいじめ問題にメッセージを発信するのは避けていたが、中川翔子さんも件のシリーズに登場していたために、自身も同じシリーズに出たいと思ったことと、ちゃんと考えを伝えないといけないと思ったようです。
はるかぜちゃんの「遺書」観は、大切な人への感謝や嫌いな人への言葉を、生命力があるうちに書くというもの。たしかに、いじめ自殺を前提とするような「遺書」とは違います。そのため、切実さをわかっていないと思う人は、それを不快に思う人もいるかもしれません。ただ、いじめとの関連なしに考えれば、そうした「遺書」もありだろうと思ったりもします。
はるかぜちゃんのメッセージをどう感じるでしょう。まだ読んでいない人、動画を見ていない人は、ぜひアクセスしてみてください。どう感じるかはわかりませんが、素直さを感じるかどうは人によって違うでしょう。また、不快に感じる人もいるかもしれません。ただ、批判的に思ったにせよ、殺人予告をしたり、嫌がらせのようなツイートをすることは違うのではないでしょうか。
《NewsCafeコラム》
page top