「富士山入山料」の背景 | NewsCafe

「富士山入山料」の背景

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若葉のころになると「山ガール」は一斉にときめきだす様に見受けられる。駿河台で「山用品の店」をやっている友人は『桜の開花に合わせて女性客が増えている。ウエアーも年々多機能・軽量・色鮮やかになっている。これからのシーズンの山登りを気楽に考えている人も多いようだが「遭難が多いのが5月の連休」である』と言う。識者は「山の麓は春でも、山はまだ冬の気候のままということもある。万全の防寒対策と気象状況を考えた登山計画を練る必要がある」と言う。気楽な気分の果てが遭難ではいただけない。過日久々に東海道新幹線の車窓から「5合目以上にまだ雪の残る富士山」を見た。いつみても富士山はほれぼれとするのである。多くの若者が「一度は富士登山」と言うのがわかるのである。

そんな富士登山に大きな変化が起きそうである。焦点は「入山料問題・世界遺産登録問題」である。報道によると『静岡県は4月8日、2014年の夏山シーズンから入山料導入を目指す方針を発表し、翌4月9日には、山梨県の横内知事が賛同した。富士山の入山料を巡っては、昨年1月、山梨県の担当者が静岡側に協議を申し入れ、今年1月、静岡県の川勝知事が検討の方針を表明していた。 環境省によると「2012年夏山シーズンの富士登山者数は、調査を始めた05年以降2番目に多い31万8565人。年間では33万人で富士吉田口(山梨)から20万人・富士宮口、須走口、御殿場口(いずれも静岡)から13万人である。2008年以降、30万人前後で推移している』と言う事である。地元の山梨県富士吉田市富士山課は『環境保全と安全管理は限界に近い・今年6月~7月に「富士山の世界文化遺産の登録」が認められればますます登山客は増える。それに合わせて公共トイレの増設・登山道の拡張などに多額の費用が掛かる。「受益者負担の原則」で入山料の徴収で財源を作る必要がある。また入山料を取ることで爆発的な登山者増を抑えたい』と言う。まことにもっともな意向である。

世界的な登山家で「富士山の清掃運動」を推進している畏友は『富士山の清掃活動はそれなりに効果を上げているが、現状のままで世界遺産に登録されると登山者が激増し、間違いなく環境破壊が進む。世界遺産登録が環境破壊につながるのは「屋久島や北上山地」を見ても明らかである。「世界遺産で客集め・観光化で環境破壊」では本末転倒である。何らかの対策が伴うべきである』と世界遺産への登録を危惧しているのである。アメリカの自然公園では「入園者の総量規制・入園料の徴収」は珍しいことではないのである。この意味で「富士山の入山料問題」を新しい取り組みとして注目したいのである。某社のコマーシャルのフレーズではないが「残して良いのは足跡・持って帰れるのは思いだだけ」が登山の心得なのである。山ガール&高齢者でますます登山者は増え、遭難も増える。「山の日」を制定し「その日は皆が山の整備・ルールの確認…」と思うのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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