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レコードの話

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最近電車の中で学生同士が話していることが気になった。そのときの会話は「音楽はCDを買うのでなくダウンロードするのが当たり前」といった内容だ。自分が10代の頃はインターネットから曲をダウンロードして、考えらないくらい小さいipodで聴くという時代がくる事は想像もしていなかった。音楽CDが売れない…。こんなニュースを見かける度に「昔はそんなことはなかったのにな…。」と思う。90年代は人気歌手がCDを出せばミリオンヒットは当たり前の時代だった。しかし学生達の話通り「CDを買う」から「ダウンロード」するに時代は変化している。

音楽ソフト(CD、カセット、レコード、音楽ビデオなど)の売上金額は、全盛期の1998年には6074億円だったものが、2010年には2836億円にまで落ち込んでいる。じつに12年連続、3000億円以上の下落で、市場規模は半分以下に縮小しているのが現状だ。このままいくとCDは無くなってしまうのではないだろうか…。それぐらいの落ち込みようである。CDが売れなくなるということはCDショップの存続も危うくなるということである。2010年に大手ショップであるHMV渋谷店が閉店するというニュースを聞いたときは少なからず衝撃を受けた。

そんなダウンロード全盛期の時代にあってCDではなくレコードの生産量が増えているという記事を少し前の日本経済新聞で見つけた。レコードというと若い世代にはなじみは薄いと思うが、・レコード派の立場としてはこの盛り上がりはうれしいものがある。昨年秋、大手音楽メーカーのEMIミュージック・ジャパンとディスクユニオンがタッグを組んだ名門ジャズレーベル「ブルーノート」の名盤レコードの復刻企画は売れ行きも好調だったといい、限定生産したものはほとんどが完売したという。CD・レコードは売れなくなっても潜在的にいい音楽を欲している消費者が数多くいる可能性を感じた。

そもそも音楽好きな人間には大きく分けて2種類のタイプが存在する。音源であるCD・レコードだけでなくジャケットを含めてひとつの「作品」として手元に置いておきたいタイプ。もうひとつは曲だけが聴ければCDは別にいらないと思うタイプ。後者はまさにダウンロード主体の現代にマッチしている。ヒットチャートを賑わすいわゆる商業的な音楽を好む人がダウンロード利用者に多くいると予測できるが、自分から言わせればそれだけでは「その作品」の真意が絶対に伝わらないと思っている。

あくまで個人的な考えだがCDアルバムは楽曲数が多すぎると思う。15~18曲入っているのが主流だが、例えば同じCDを持っている人が話をするときに「あのアルバムの12曲目いいよね~」といわれても「何の曲だっけ?」と考え込んでしまわないだろうか。レコードの場合は片面の曲数が少ないのでAの3曲目と言われたら「あーあの曲ね」とすぐに反応できるし分かりやすい。録音時間の長さ、大きさなど、確かにフォーマットとしてはレコードはCDには勝てないと思う。

しかしCDにもデジタル配信にもない魅力がレコードにはある。年月とともに味を出していくジャケット、決してクリアではないが何ともいえない音質…。アーティストがレコードだけの販売にしてその中に付属として楽曲をダウンロードできるクーポンがあれば「CDよりも売れるんじゃないか…」とさえ思う。まだレコードで音楽を聴いたことのない人は機会があればぜひ聴いていただきたと思う。きっと新しい発見があるはずだ。

[執筆者:松岡慶]
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