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いつもとちょっと違う気分

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10月も終盤に入り、朝晩の気温もだいぶ下がってきた。「読書の秋」という言葉通り、この季節は夜に本を読む人は多いのではないだろうか。今回はそんな秋の夜長にピッタリな音楽を紹介したい。

みなさんはボサノバという音楽をご存知だろうか。日本でも人気が高くカフェやバーなどでよく耳にするあの音楽だ。ボサノバは1950年代にブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン。ヴィニシウス・ジ・モライス 。ジョアン・ジルベルトの3人を中心に誕生した音楽だ。

この50年代にブラジルで最もポピュラーだった音楽は伝統的なサンバ。しかしサンバに飽きた若者達は革新的な音楽を待ち望んでいた。そんななか誕生したボサノバという新しい音楽は当時の若者に衝撃を与えた。従来のサンバのリズムをギター1本で奏でるバチーダという技法。ジョアン・ジルベルトのこのギターテクニックとまるでささやくように歌うスタイル。北米のジャズでもない…、欧米のロックでもない…。ブラジルの伝統が詰まったこの音楽にみな夢中になった。

その人気はブラジル国内だけに収まらず、1962年11月21日には、米国カーネギー・ホールでボサノバのコンサートが行われた。1963年にはジョアン・ジルベルトと米国のサックス奏者スタン・ゲッツと共演した「ゲッツ/ジルベルト」が大ヒット。発売から50年がたった今でも大手CDショップのジャズ/ブラジルコーナーには必ず置いてある名盤である。

しかし、ブラジルでこのボサノバは短命で終わってしまうことになる。1960年代といえば世界的にビートルズ旋風を巻き起こした年代。ブラジルも例外ではなくこれまで以上に欧米の音楽が進出してきた時期でもある。さらに1964年に起きたクーデターによる軍事政権樹立が大きな要因を占めている。体制批判など政治的な内容を含んだ歌詞のボサノバが現れ、それを取り締まり有能なアーティストが国外脱出するケースも起きた。様々な憶測があるがこの上記2つがボサノバ終焉に大きな影響を与えたことは間違いない。

本国ではすでに過去の音楽であるボサノバだが日本では未だに人気が高い。実は日本は世界でも稀にみるボサノバ人口が多い国でもある。なぜ日本人はボサノバを好むのだろうか。一般的に言われるのがもともとボサノバがブラジルでは中流階級の層が聞いていた音楽であるという点が上げられる。一億総中流という語があるが、1958年(昭和33年)から始まった内閣府の「国民生活に関する世論調査」で大多数が「中流」と答えた結果が出た。これは少なくとも2008年までは続いていると考えれられる。国は違えどこの中流という意識が日本人がボサノバを好む理由なのかもしれない。

秋の夜長にボサノバ…。いつもとはちょっと違う気分を味わえるかもしれない。

[執筆者:松岡慶]
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