ザッケローニの悩み | NewsCafe

ザッケローニの悩み

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16日のW杯欧州予選グループI、スペインvsフランス。前半スペインに先制されるフランス。必死に反撃するが、微妙な判定もあり前半は0-1。後半さらに攻撃的に。しかしゴールは遠い。終了間際の94分。リベリの折り返しから、ベンゼマと交代したばかりのジルーがヘディングでゴール。やっと引分けに持ち込んだ。2012EUROで結果を出せず、7月から再生を背負って就任したデシャン監督。4日前に日本に敗れただけに、胸をなでおろしただろう。

パリ・サンドニでの試合。仮想スペインの日本に勝ち、気持ちよくスペインに乗り込むシナリオだったはずだ。試合開始からベンゼマ、リベリらの世界屈指の攻撃陣が怒涛の攻撃。それでも4か月ぶりに復帰したDF今野はじめDF吉田らが相手に決定的なチャンスを与えない。特にGK川島の再三のセーブは素晴らしかった。仏国営テレビ局フランス2で、川島の腕が4本に見える合成画像を放映。司会者が福島第一原発事故と関連付けて揶揄する事件まで起こしたほどだ。前半引き気味だったがハーフタイムで修正。選手のポジショニングが良くなる。特にMF乾の投入で動きが変わった。40分過ぎ相手コーナーキックのこぼれ球を拾ったDF今野が一気に仕掛け、パスを受けたDF長友が駆け上がりクロスを正面に。それを切り込んだMF香川が右足で流し込んだ。日本は一度のビッグチャンスをものにし、フランスからの初白星を6戦目で掴んだことになった。敵地ホームでW杯王者を破った事実は大きな自信となった。

4日後、ポーランドで行われたブラジル戦。フランス戦に勝利した勢いでこの試合に臨んだ。前線にFW本田、MF清武、MF香川、MF中村と並べ、パスで相手を崩す作戦に出た。試合開始10分過ぎまでは、ショートパスが面白いように繋がり、期待は少しずつ高まる。しかし12分、内田のヘディングのクリアがオスカルの足元に。そこから後方から走り込んできたボランチのパウリーニョに横パス。その前にはぽっかりと大きなスペースが。パウリーニョはモーションなしで右足つま先からミドルシュートを打つ。それが豪快にネットを揺らす。確かな技術力に裏打ちされた、意外性あふれるプレー。フランス戦の諸護神も反応できない。レベルの差を感じさせられるシュートだった。そして26分に今野のハンドでPKを与え、2点差。ここで試合は終わったようなものだった。ブラジルの身体能力の高さ、個々人の技術力、プレーに対する判断のよさ。それらが揃ったこの日は最高の出来だったのではないか。

1勝1敗で終わった欧州遠征。FWの決定力不足はここでは言わないが他の課題も見えてきた。日本の強さはパスを矢継ぎ早につなぎ、相手を崩す。前線に何人もが飛び出しゴールを決めるパターンだ。しかしそこでボールを失うとカウンターを食う。SBやボランチは技術も必要だが、同時に高い身体能力が求められる。SBは長友に加え酒井宏など若手も出てきた。ボランチの遠藤、長谷部は微妙だ。相手の速攻逆襲に対応できないシーンが多々あった。遠藤のAマッチ出場123試合は日本新。戦術展開力はさすがだが、トップクラス相手では限界だろう。ボランチは戦術眼を要求されるだけに誰でも言い訳ではないが、ブラジルW杯へ向けて新しい血必要だ。ザッケローニ監督も悩ましところだ。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》
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