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「なりすましウィルス」に気をつけよう

社会 ニュース
「ノーベル賞キタ」。
ノーベル医学生理学賞を受賞した、京都大学の山中伸弥教授の名前で8日、Twitterでこう呟かれました。
プロフィールには「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)所長」とあり、写真も掲載。このつぶやきが話題となっていましたが、京大によると他人のなりすましだといいます。京大iPS細胞研究所も公式サイトで「現在、当研究所所長の山中伸弥を語る偽のtwitterアカウントが存在しているようです。山中はTwitterによる情報発信をしておりませんので、ご注意願います」と、本人のアカウントではないことを否定しました。

なりすましといえば、大きな問題に発展しそうな事件がありました。
大阪市のホームページに、無差別殺人を予告する書き込みをしたとして、偽計業務妨害罪でアニメ演出家が起訴されていた事件で、別人がなりすましてパソコンを遠隔操作できる状態にできる新種のウィルスに感染していたことが分かったのです。このウィルスに感染していたことで、演出家は無関係の可能性が出て来たのです。

"遠隔操作"できるソフトはこれまでの存在しますし、それ自体は通常の範囲内で利用すれば、便利なツールだと言えます。あるパソコンを離れた場所から遠隔操作することで、別のユーザーのパソコンや、自身の別のパソコンを操作することにより、より利便性を高めたりします。通常は、遠隔操作する側とされる側の了解があるために、問題になりえません。

しかし、今回の問題となったのは、それがウィルス感染によって、知らない間にそのソフトがダウンロードされるのです。そして、自動的にそのウィルスが起動して、同意もないのに、遠隔操作できる状態になってしまうことです。仮に、そうした第三者が、ウィルス感染をしたパソコンを自由に遠隔操作が可能になってしまえば、ビジネスの取引、人間関係でのトラブルを引き起こすことができるのです。そのため、大阪市のホームページへの無差別殺人予告の書き込みの事件も、そうした第三者が遠隔操作することが可能なのです。

まだ書き込みレベルであれば「他人への被害」という意味では、なりすまされ、逮捕された人ひとりだったのですが、より深刻なトラブルを引き起こす可能性もあります。2010年に発見されたウィルスでは、イランの原子力発電所の制御システムがターゲットになりました。既存のウィルス対策では検知できない「新種」だったのです。ただし、このとき、システムを乗っ取っていただけで、誤作動を引き起こしたわけではなかったことが幸いでした。もしかすると、このときの"犯人"は、乗っ取ることが可能だというアピールが目的だったのかもしれません。しかし、より悪意のある"犯人"だったら、原発のトラブルを招くところでした。

こうしたウィルスを避けるための手段は、感染ルートを閉ざすことです。第一に、知らない人からのファイルには注意することです。メールやSkypeでのやりとりで、見知らぬ人からのファイル交換には気をつけたいところです。それはウェブサイトへのアクセスでも同様で、ファイルをダウンロードするときには注意をしましょう。

USBメモリーでの感染拡大もあります。ウィルスに感染していると、USBメモリにもウィルスがコピーされてしまうことがあります。その感染したメモリが媒介になって、他のパソコンが感染してしまうことがあります。ウィルスに感染した場合、拡大を防ぐためにLANを切断することです。データ以降の手段としてUSBメモリを使うのも気をつけなければなりません。

最近では、スマートフォンも個人情報を抜き取るウィルスもあるようです。不正なアプリをダウンロードさせるリンク先が書かれたメールを不特定のユーザーにばらまく方法で拡大していきました。さらに、SNSでも拡大していきます。そのため、信頼できないサイトからアプリをインストールするのはしないことです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材
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