愛知県岩倉市のいじめについて | NewsCafe

愛知県岩倉市のいじめについて

社会 ニュース
2006年8月、愛知県岩倉市の高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)が、私立中学でのいじめによる後遺症の結果、自殺した問題で、母親の典子さん(54)が9月28日文部科学省に陳情した。「私学の自主性」を重んじることを理由に、文科省は私学への積極的な指導・監督ができないことから、典子さんは改善を求める手紙を出していた。しかし、文科省の姿勢は変わっていない。

典子さんは、亡くなった美桜子さんが通っていた学校法人市邨学園(名古屋市瑞穂区)や当時の担任らを相手に損害賠償を求めている。一審では名古屋地裁(長谷川恭弘裁判長)が原告の主張をほぼすべて認定。継続的で悪質ないじめやずさんな学校の対応、その結果として解離性同一性障害になったこと、闘病の末に自殺したこと、いじめと自殺の因果関係、さらにいじめの予見可能性まで認めた画期的判決だった。市邨学園は控訴し、控訴審(名古屋高裁)が9月10日、結審している。判決は12月25日。

典子さんは、美桜子さんが在学中にも学校側にいじめ問題への対応を要望していた。しかし、具体的な対応はなかった。いじめと自殺の因果関係を認めた一審判決後も、学校側はいじめを認めていない。そうした経験を元に、文科大臣宛てに「どうか『指導・監督出来る』法令策定の道を造っていただけますでしょうか」などと、私学にもいじめ問題について、指導・監督を求める内容を記した手紙を出していた。

文科省は、平野博文大臣の談話「すべての学校・教育委員会関係者の皆様へ」を「児童生徒等の生命又は身体の安全がおびやかされるような重大な事態に至るおそれがあると認めるときは、そのような事態に至る前に、すみやかに関係者で連携することが必要です。都道府県教育委員会は、学校や市町村教育委員会を可能な限り支援してください。文部科学省も積極的に支援いたしますので、市町村教育委員会、都道府県教育委員会はすみやかに文部科学省へ状況を報告してください」などと発表している。滋賀県大津市のいじめ自殺の対応が問題視された後の7月13日付けだ。

もちろん、文科省は私学に対しても都道府県の関係部局を通じて通知している。しかし、私立学校がいじめの調査を行わないなど不十分な対応をとった時は、文科省はどう対応しているのか。「私学の自主性」を重んじなければならないため、積極的な指導・監督はできないとの見解だ。簡単に言えば、私学はいじめ自殺を隠そうと思えばできるのだ。その現状をなんとか典子さんが変えたいと思っている。

9月28日、典子さんは文科省を訪れて、平野大臣の意向を受けて初等中等教育局児童生徒課が作成した"手紙"を受け取った。それには、「いじめの問題の取組の徹底を求める通知の発出、電話相談の実施等による教育相談体制の充実、すべての学校に対するいじめの実態把握のための『アンケート調査』の実施の要請などの取組を進めてきたところであり、私立学校に対しても都道府県の担当部局を通じ、同様に適切な対応を求めてきた」とあるだけで、踏み込んだ内容はない。

典子さんは陳情後、文科省内で会見し、「私立学校法という法令があり、私立学校には指導も監督もできない、と言われていたのです。(いじめ自殺の対応が問題視された)大津市では次々と対応策が取られた。公立であろうと、私立であろうと、いじめで苦しんでいる子どもを同じように救っていただきたい。そういう思いを持っています。しかし、回答は何一つ出てこなかった。まだまだやらなければならないことが山積みです」と話した。

文科大臣は1日、野田内閣の改造によって、田中眞紀子氏に代わった。就任会見で、田中大臣はいじめ対策については「他の人との違いを認識し、自分に自信を持つような人づくりができれば、いじめのない社会の方向に向かうのでは」と話していた。小中高校生の自殺が昨年度200人だったことには、「子供を精神的に追い込まないで、たった一回の人生を生きられるようにするのは大人の責任」と述べた。果たして、私学の壁を越えることはできるのか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材
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