巨人優勝-劇薬の効き目 | NewsCafe

巨人優勝-劇薬の効き目

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開幕前の清武騒動、相変わらずのカネにモノを言わせた補強。シーズン中も主力選手の契約金違反問題や原監督の女性問題のスキャンダル。野球以外でも話題に事欠かなかったジャイアンツだが、2位に圧倒的な強さを見せて、今年はダントツ優勝。「全員の力を結集できた。一人ひとりに賛辞を述べたい」と3年ぶりの優勝を喜んだ。

昨年末の騒動。ナベツネの「勝手にコーチ人事をいじくるな」発言。主役は江川のヘッドコーチ就任だったが、併せて「戦略室」の新設もクローズアップされた。補強と合わせ清武氏の描いた戦略の一環だった。そのチーフコーチは元ヤクルトの橋上秀樹。ヤクルト、阪神で野村克也監督の下でプレー。07年から野村楽天のヘッドコーチ。野村本も数冊出版もしている。最新の野村IDの伝道者と言える。勿論巨人には巨大なデータボックスは揃っている。しかし自分のバッティングに自信を持つ選手が揃い、これまで個々の力で解決してきた。しかし昨年は飛ばないボールで、打撃成績はリーグ3位。今年も開幕から打てなかった。「ビッグイニングを待つ野球」ではなく「1点を積み重ねる野球」に移行する必要性を選手、コーチがヒシヒシと感じた。そこで橋上ID野球が機能。「このカウントではこの球種」「得点圏の時はこれ」と言うように個別に具体的に打者に伝える。徐々に結果が出て、橋上チーフへの信頼は増した。長野、坂本が3割。阿部は3冠王を狙える位置にいる。打線は復活した。

内海、澤村の2本柱がいて、他にも東野、ゴンザレスなど他球団が羨むコマぞろい。そこに杉内、ホールトンと言うパリーグを代表する超エース級が入団したのだから、凄いの一言だ。特に杉内の加入は大きい。内海も澤村も、勝ち星は稼ぐが絶対的なエースとは言えない。そこに杉内が加入。待ち望んだ安定感のある絶対的なエースがチームに存在する状況になった。この存在は連敗に陥ってもストッパーとして機能する。内海ら他の投手にはプレッシャーから幾分解放され、伸び伸び投げられるようになった。さらに杉内の実績は、若い投手の多い投手陣には体の使い方など良い見本となった。特に左腕。内海は24試合に先発し14勝6敗。防御率1.89。フォークが冴え渡り、名実ともにエースに。最多勝候補。山口は70試合に登板しホールド44、セーブ5。防御率0.86。開幕から24試合無失点記録を更新するなど、安定的な成績を残した。新人の高木京。国学院大からD4位で入団。開幕1軍入りを勝ち取り、28試合に登板。2勝0敗1セーブ、7ホールド、防御率0.68の好成績。23試合無失点でセリーグ新人連続無失点記録を更新中。これだけ投打が揃うと向かうところ敵なしだ。

原監督の監督交代説がある。輝かしい成績を残したが、女性スキャンダルは「紳士たれ」の巨人にあっては今期末退任もさもありなんかとも思う。自覚もあってか今年の采配はケレンミが無い。投手では小山、笠原らに先発のチャンスを与え、野手でも中井、太田らを起用。成績が出なければ2軍に落とす。ベテランにもバントさせ、不振だと思えばクリーンナップでも代打を出す。多分「やるだけやろう」と言う開き直った意識が強いのだろう。清武元GMは功罪含む劇薬的遺産を残したが、それを上手に使った原監督が一枚上だったと言うことだろう。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》
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