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子宮けい癌検診について

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子宮けい癌検診について、その原因となるウイルスのDNAが子宮頸部にあるか調べる「HPV(ヒトパピローマウイルス)検査」を厚生労働省が来年度から30代女性を対象に導入する方針を固めた、という報道が時事通信でありました。HPV検査は一部の自治体が既に行っているますが広く実施できるよう来年度予算の概算要求に盛り込む、としています。

医療介護に関するニュースサイト「キャエリアブレイン」では、国内の子宮けい癌の若年層の感染者が増えていること、また死亡率が諸外国で低下する中で、逆に上昇しているため、厚労省は、罹患率の高い30代を中心に、検査が有効かをどうかを検証し、課題を浮き彫りにしたい考え、と伝えています。

HPVはセックスで感染する「性感染症(STD)」です。そのHPVに女性が感染するのは生涯で50~80%だとされ、誰もが一度は感染する可能性があるものです。子宮摘出術を受けた女性からもHPVのDNAが検出されたこともあるのです。ただ、そのほどんどが免疫作用で対外に排出されます。しかし、一部の人は排除できないために、ウイルス感染による病気が発症すると考えられています。

「セックスで癌になる」。そう言われたりする背景には、このHPVがあるのです。ただ、発病したとしても、必ず、子宮けいがんになるわけではなく、他の病気の可能性もあります。ただ、子宮けい癌の99%が、HPVの持続感染が原因ということが明らかになってきています。発症年齢は20~30代が多いとも言われています。

自治体によってが、すでにHPVワクチン接種が行なわれています。とはいっても、性交経験前に接種しなければ十分な効果が期待できません。そのため、公費負担の対象は、性交経験前の年齢に限られます。感染を防ぐことができれば、患者数や死亡者を減少させることができます。ただし、ワクチンは感染予防が目的で、既感染者からHPVを排除できません。

私がHPVのこと意識したのは、5年ほど前です。知人の助産師が社会人で大学に入学したとき、大学生にSTDの知識を広めたいとの相談を受けました。私は、授業等で講義をしても本当に知識を届けたい人には伝わらないのではないか。もっと気軽に相談ができるようなときがいいのではないか。そんな話をしているうちに、文化祭でSTDの知識を普及させようという話になったのです。

知人は看護学校時代にSTDの知識を普及させていました。そのときの看護学校時代の仲間が集まって、大学の文化祭で知識の普及啓発をしたのです。私もナース服を借りて手伝いました。そのときの事前勉強会でHPVのことが話題になったのです。

STDであれば、予防策はコンドームになります。もちろん、完全に防ぐことはできませんが、かなりの確率で予防ができることが言われています。HPV感染によって、癌になるプロセスには、他のSTDとの重複感染も一因と言われています。そのため、他のSTDを防ぐことができれば、HPVに感染したとしても、癌になるプロセスを抑えることができる確率が高まります。つまり、安全なセックスをしておけば、感染する確率が下がるのです。

ただし、STDの観点から考えれば、女性だけを対象にした検査にどれだけの意味があるのでしょうか。もちろん、男性がHPVに感染しても、癌になる可能性はきわめて稀なことなのです。しかし、STDですから、男性に自覚のないままに、パートナーにHPVを感染させてしまうことにもなりかねません。男性にもHPV検査をする機会を与えること。それがパートナーを守ることにもなるのです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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