【五輪解説】なでしこ、徐々に課題修正を | NewsCafe

【五輪解説】なでしこ、徐々に課題修正を

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スタジアムには、初戦に続き1万4000人を超える観客が詰め掛けた。「ニッポン!! ニッポン!!」と会場全体から届けられる声援を背にプレーするなでしこたちは、さながらホームで戦っているかのようだった。

素晴らしい演出で世界中を魅了したロンドンオリンピックの開幕式。その翌日のなでしこジャパンのグループステージ2戦目。土曜日に行われたこともあり、多くの日本人サポーターがイギリス・コベントリーに訪れた。先日の初戦よりも随分と増えた感じで、特に子供連れの家族が多かったのが印象的だった。

「なでしこ、今日は勝つかな?」と父親に何度も確認する少年。「こんなにグラウンドと近いんだー!」とはしゃぐ少女たち。これまで4度のオリンピックに出場しているサッカー日本女子代表だが、これほどまでに日本から観客が訪れた大会は初めてだろう。「声援を聞くと頑張れるし、胸が熱くなる」と、キャプテンの宮間も感謝している。


佐々木監督が「しっかりと勝ち点3を奪いたい」と臨んだスウェーデン戦は、無得点に終わったものの、センターバックの岩清水や熊谷、GK福元を中心としたなでしこ守備陣の良さが際立ったゲームとなった。

スウェーデンは両サイドを起点に攻撃を仕掛けてきた。だが、なでしこは"中央に寄せてからボールを奪う""ボールの出どころを抑える"守備で、FWシェリンらゴール前にパスを送る前に相手のチャンスを潰した。するとなでしこは最終ラインで奪ったボールを安易にクリアせず、自陣でも落ち着いてパスを繋ぎ、対抗した。

しかし、敵陣に攻め込むと、多くの決定機を作りながらも、なでしこのアタッカー陣はフィニッシュの精度を欠いた。特に2トップの大野と大儀見は、守備でも休みなく走らされたおかげでスタミナの消耗が激しかった。時折訪れたカウンター攻撃のチャンスにも、相手を引き付けきる前にボールを離してしまい、結局ボールの受け手はシュートコースをふさがれてしまった。

結局、0-0で終了の笛を聞いた。ただ、この日の結果だけを受けて"得点力・決定力不足"とことさらに嘆く必要はない。

なでしこジャパンが国際公式大会で得点0にとどまったのは、昨年のドイツW杯のイングランド戦以来、1年ぶりとなる。さらに、スコアレスドローとなったのは、2010年広州アジア大会の北朝鮮戦までさかのぼる。いずれも、グループステージでの結果であることにも注目したい。なでしこはどちらの大会でも優勝しており、その修正力の高さは証明済みだ。

会場に訪れた少年少女たちに勝利をプレゼントすることはできなかったが、なでしこたちは丁寧にスタジアムの全方面に向けて手を振る。メインスタンドの2階席から「澤さーん!!」と少女たちが呼びかけると、澤も笑顔を作って応えていた。

試合後、他の組の結果により決勝トーナメント進出が決定したなでしこジャパン。31日の南アフリカ戦の結果でグループ通過順位が確定する。目標の"一番きれいなメダル"をかけた戦いまでに徐々に課題を修正していけばいい。日本でも、現地でも多くのサポーターがなでしこを応援しているのだから。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]
《NewsCafeコラム》
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