「まぐれじゃない、名実ともに世界一に」 | NewsCafe

「まぐれじゃない、名実ともに世界一に」

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今年2月のアルガルベ杯から、なでしこジャパンの"新キャプテン"を任されたのは、宮間あやだ。
あまり多くを語らずチームメイトに行動で示すタイプの前任者・澤穂希に対して、宮間は積極的にコミュニケーションを取ってチームを引っ張っていくタイプのリーダーだ。
代表合宿中はいつも他の選手に目を配り、落ち込んでいる選手がいれば積極的に話しかける。ホテルでも各部屋を回って、真剣な話をしたり、じゃれあったりとチームメイトが過ごしやすいように配慮しているという。

中学、高校の途中まで同じチームでプレーし、同時期になでしこジャパンに定着してきた大野忍は言う。
「私よりも一歳下ですが、すごくしっかりしたキャプテンです。練習から常に声を出してゲキを飛ばしたり、怒ったりしていますね。悩むこともあると思いますが、支えてあげられたらと思います」
宮間本人にキャプテン就任について聞けば、「普段はおちゃらけキャラなんですけどね」と、いたずらっぽく笑って、はぐらかされるが、そのプレッシャーは並大抵ではないようだ。
時折見せる厳しい表情が、その一端をのぞかせる。

なでしこリーグで宮間が所属する、湯郷ベルの前監督で、彼女を小学生時代から知る本田美登里氏がかつて語っていたことがある。

「本来の才能もありますが、サッカーに対して真摯で、非常に勉強熱心な選手ですね。例えば、丸いものをどう蹴ればいいのかについては、常に考えているんですよ。みかんを手にしていれば、じっと見つめて『ああでもない、こうでもない』と言っています。それくらいボールやサッカーに対して貪欲なのですよ。小学生時代からそれは変わりませんね」
今や彼女の代名詞となった、正確なプレースキックはこういった毎日から生み出されているようだ。

まだ10代後半ながら湯郷ベルの中心選手として出場していたころも、そうであった。私がリーグの取材に行くと必ず試合後のコメントを取った後に、
「今日の試合はどう見えましたか?」「どうやったらもっと良くなりますか?」
と、彼女からよく聞いてきたものだ。

けれど、20代に入るとその頻度は少なくなり、今はもう聞いてくることはない。
もはや彼女のサッカー観は人に頼らずとも、確固たるものになっているからだろう。

7月25日に第一戦を迎えるロンドン五輪で、宮間の目標はもちろん金メダルである。
「昨年のW杯で世界一になりましたけど、まぐれだと思われているかもしれない。五輪では、日本の強さを見せつけて、名実ともに世界一だと言ってもらえるように、金メダルを取りたい」

優しく厳しいキャプテン、宮間あや。27歳の夏、最高の仲間との戦いがまた幕を開ける。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]
《NewsCafeコラム》
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