落合野球に学ぶ「勝つことが最大のファンサービス」の意味 | NewsCafe

落合野球に学ぶ「勝つことが最大のファンサービス」の意味

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球団史上初めてのリーグ連覇を達成した中日ドラゴンズ。落合満博監督は中日にとって快挙を成し遂げましたが、今年をもって、「契約通り」に監督を辞めることになりました。これには内外から批判がありました。

というのも、歴史的な快挙という意味では、リーグを連覇したことだけではありません。1人の監督での優勝回数も4回というのも初めてのことです。また、2007年には、リーグでは2位でしたが、クライマックスシリーズ(CS)でリーグ代表となり、日本シリーズで優勝しました。セ・リーグとしてはリーグ制覇しないチームの初の日本一となりました。中日の日本一は、53年ぶりだったのです。

2004年以来続いた落合「政権」は、成績を見ると、Aクラス(1~3位)を維持し、一度もBクラス(4~6位)にならかった。落合監督以前にリーグ制覇をしたのは星野仙一監督時代(第2次)の1999年。その第2次星野監督時代も、96年~2001年の6年間で2度、Bクラスとなっていました。それだけ、リーグでAクラスを続けたのは意味があります。

関東の地上波で野球といえば、圧倒的に巨人戦です。しかし、最近では巨人戦でさえ地上波での放映はありません。野球ファンの中でも、巨人戦を見ることで相手チームにどんな選手がいるか、調子はどうかをチェックしていたものです。昨年は日本シリーズでさえ地上波での放映はありませんでした(今年は復活しました)。野球人気にかげりを見せていましたが、それでもなお、中日や落合監督が話題となったのは、「勝つこと」を続けていたからでしょう。

私は中日ファンです。私がファンになったのは、巨人が全盛期だったころです。巨人のV10を阻止したのが中日でしたが、小学生だった私は、V9の意味がどのくらいの重みがあったのかはわかりませんでした。しかし、巨人ばかりがもてはやされていた時代に、私にとっては、野球の面白さを教えてくれたのが中日だったのです。球場で初めてホームランボールが目の前に来たのが中日戦でした。偶然だったわけですが、あのときの感動を今でも思い出します。

その後も中日ファンであり続けるわけですが、優勝が絡むと目が離せませんが、優勝でない場面でも思い出すことがあります。1987年、高卒新人の近藤真一投手(当時)がプロ初登板で、巨人相手にノーヒット・ノーランを史上初めて成し遂げました。また、1994年10月8日には、史上初めて、同率首位同士の優勝決定戦。いわゆる、10・8決戦がありました。この試合は社会的な関心を集めました。ちなみに、このときの巨人の4番は落合"選手"でした。負けはしましたが、優勝しなくても、歴史的な勝負を繰り返すことができたのは、「勝つこと」の繰り返しだったからでしょう。

もちろん、「勝つこと」も重要ですが、人気選手を起用するなどの「ファンサービス」も必要です。2006年、立浪和義がレギュラーから落ちた時には、正直に言えば、私はがっかりしました。それでもなお、立浪は代打で起用され、一振りのチャンスに懸けました。最後の出場試合、CSでのレフトフライは今でも忘れていません。ただ、こうしてCSまで勝ち上がれたのも、「勝つこと」を優先したからでしょう。「勝つことこそ最大のファンサービス」。私はこの落合監督の考えを、立浪の起用を通じて考えることができました。立浪もそれに応えていたからこそ、ミスター・ツーベースとして、2塁打の日本記録(通算487本)を樹立したのでしょう。

こうした落合監督の手法には批判もあります。「勝つこと」を優先するため、「魅せること」については控えめです。そのため、観客動員数が減少したのです。これは落合監督だけの責任とは言えません。そもそも野球人気が低迷し、地上波でも放映されなくなってきているからです。特に休日に観客動員が減っていることから、組まれた相手チームにもよるでしょう。

今年は「中日・落合」最後の年。パ・リーグの王者、ソフトバンク・ホークスを福岡ドームで下して2連勝しました(※14日時点)。このままの勢いで日本シリーズも制覇してほしい、と、いち中日ファンとして思っています。そうなれば、57年ぶりの、リーグ制覇をして日本一となります。しかし、2004年の日本シリーズで、王手をかけながら、西武に2連敗をし、日本一を逃したこともあります。最後まで気を緩めないでほしいと思います。

ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://foomii.com/mobile/00022)を配信中]
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