[第10回]女性教師の自殺「公務外」(後編)同居人に「生きていても仕方がない」 | NewsCafe

[第10回]女性教師の自殺「公務外」(後編)同居人に「生きていても仕方がない」

社会 ニュース
7月3日、「風邪のため」に年休1日を取り、4日にも一時間の年休を取りました。

病院に寄ってから出勤したのです。

10日には、自分で連絡ができないほど体調が悪化していました。

翌11日、メンタルクリニックを受診、「うつ病」と診断されました。

18日には、パニック発作が起き、エスカレーターを上れないほどになった、といいます。



川人弁護士によると、Aさんは9日に自傷行為をしています。

5月下旬頃から、Aさんは同居人に対して「生きていても仕方がない」「生きていたくない、死にたい」と話していたようです。

支部側の専門医は、この頃にうつ病が発症している、とみています。



7月18日から8月末まで休職しましたが、うつ病は回復しませんでした。

復帰後は、若干の職務軽減はありましたが、学級での副担任をつけるなどのサポートはありませんでした。

いじめ問題が発生したことで、保護者からの電話対応をせざるを得ない状況だったのです。



Aさんは10月後半に自殺を図りました。

意識不明となり、いったんは一命を取り留めるものの、12月に死亡しました。

もちろん、「公務外認定」に影響を与えた本部側の専門医も、精神疾患を発症したことは認めています。

しかし、業務と精神疾患との関連を認めませんでした。

同支部は、この本部側の専門医の意見を採用したのです。



会見した川人弁護士は

「東京都の教員採用は、初年度、条件付き採用になっています。新人にとってはプレッシャーです。また、同じ時期に同じ学校に新任教員4人を採用、ベテランの教員がその年に担任を離れて休職しました。また、研究指定校になったことで、教育実践以外のこともしていたのです。にもかかわらず、翌年も研究指定校を受けています」

と、過度な負担がかかった理由について説明しています。



教員のストレス増加は、もちろん、子どもたちや保護者を取り巻く環境の変化によるものもあります。

その変化に対応するのは、教員として、それ自体が仕事とも言えます。

ただ、子どもたちの教育を学校だけに任せてしまってよいのでしょうか。

家庭や地域社会もできる範囲で学校と協力することが必要になります。



学校それ自体が多忙となっている面もあります。

特に負担がかかるのは、副校長です。

平均残業時間が3時間19分(『副校長等の職務実態調査』07年度)で、高校教員の1時間48分(『教員勤務実態調査』06年度)を大きく上回っています。

副校長に負担がかかっていれば、新人への指導・助言にも影響が出ます。



病気休職中の教員の6割が精神疾患を理由にしています。

06年6月に、新宿区の小学校で新任の女性教員が、過労から自殺しました。

支部審査では「公務外」でしたが、本部審査で「公務災害」として認められました。

また、新宿区では新人教員へのサポート体制を整えました。

教員の過重な負担を減らし、子どもと向き合う時間を取れるようにするための課題は多いのです。(終わり)

(※)写真:Aさんが自殺する一週間前に母親に送った携帯電話のメール。

「いつも電話ありがとう。元気でる。毎日夜まで保護者から電話とか入ってきたり連絡帳でほんの些細なことで苦情を受けたり・・・つらいことだらけだけど・・薬飲みながらでも体が動くうちはなんとか行き続けることにした。病院の先生にもそう告げて、そのための薬に変えてもらうことにした。泣きそうになる毎日だけど。。。。でも私こんな気分になるために一所懸命教師を目指したんやないんに・・・おかしいね。今日も行ってきます。」
《NewsCafeコラム》
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