国内唯一の聴覚障害者のための大学「筑波技術大」の学生が担う 「デフリンピック大会エンブレム制作」がスタート - PR TIMES|NewsCafe

国内唯一の聴覚障害者のための大学「筑波技術大」の学生が担う 「デフリンピック大会エンブレム制作」がスタート

― 未来のろうの子供に、希望を与えられるデザインをつくりたい ―

2025年は日本初のデフリンピックの100周年記念大会が東京で開催されます。 そのデフリンピックの象徴となるエンブレムのデザイン案の制作を担うのは、 国内で唯一の聴覚障害者・視覚障害者のための国立大学である、筑波技術大学の学生 (総合デザイン学科を中心とした産業技術学部の学生)です。 制作にあたり、一般財団法人 全日本ろうあ連盟と東京都は、制作を担当する学生に向けて、 5月10日(水)、同大学にてオリエンテーションを実施しましたので、ご報告いたします。


                エンブレム制作を担う学生との集合写真

■ 全日本ろうあ連盟スポーツ委員会委員長、太田陽介氏より
  本日は、デフリンピック大会のエンブレム制作のスタートの日です。
  エンブレムを通して、東京の地で開かれるということが目で見て分かる形で、示されることとなります。

  ぜひ多くの人の目に触れるエンブレム制作を通して、聴覚障害の人たちの大会で、社会を変えていく
  ということを見据えて、みんなの心を一つにできる、大切なエンブレムを制作いただければと思います。

《問い合わせ先》                                           
東京都 生活文化スポーツ局 国際スポーツ事業部 事業調整第二課 
電話:03-5388-3691
                                                   

■ デフアスリート 川島選手、須田強化委員長とのトークセッション

  デフバスケットボール日本代表選考メンバー 川島 真琴選手
  埼玉県出身。現在20歳。15歳で初めての日本代表に選出され、20    
  18年に開催されたU-21世界選手権で世界第2位に輝く。
  2025年デフリンピック日本代表候補では、最上位ランクの強化指  
  定に選出。

  日本デフバスケットボール協会 強化委員会委員長 須田 将広氏
  2005年のメルボルンデフリンピックに出場。2019年にポーランド   
  のルブリンで行なわれた世界選手権にて、女子日本代表の監督を務 
  める。現在は、日本デフバスケットボール協会 強化委員会委員
  長。
  大阪・枚方で「ビバリード」というチームを立ち上げ、育成年代へ
  バスケットボールの楽しさを伝える活動も行う。


  ● デフバスケと出会ったきっかけは?

    川島選手(以下、川)/私がデフバスケに出会ったのは、中学校3年生のときです。
    進学予定だった高校の顧問の先生からデフバスケの存在を教えてもらい、日本代表を目指すための合宿に   
    参加したのがきっかけでした。

    須田強化委員長(以下、須)/私がバスケットを始めたのは、実は大学からでした。それまでは小学校2
    年生から空手をしていました。高校は一般校に通っており、聞こえないということもあって、集団競技は
    難しいのではという状況に置かれ、個人競技の空手をずっと続けていました。

    その中で、バスケの神様と言われたマイケル・ジョーダンや、漫画スラムダンクを読み、バスケへの関心   
    が高まり、大学に入ったのをきっかけに、デフバスケを始めました。当時は、同好会のような感じで、や
    りたい人同士で集まり、何となく楽しくバスケをやるというような感じでした。卒業後、デフバスケの日
    本代表のことなど、情報をいろいろいただき活動していく中で、選手として選抜されました。

  ● デフバスケとは?

    川/デフバスケは、耳がきこえない人が集まってバスケをやる競技です。コミュニケーションを取るため    
    に、今ではサインバスケというものを使い、バスケをやっています。
    須/音声を話す学生さん、手話を使わない学生さん、聴覚活  
    用をされる学生さん、いろんな方がいらっしゃると思いま
    す。大きく分けると、1.日本語を話す人、2.難聴の方で声を
    出しながら手話を使う人、3.全く聞こえず手話だけを使い、
    視覚的な情報を活用する人がいます。3者が歩み寄った、着
    地点での新しいコミュニケーション方法を何とかつくれない
    かと思って考えたのが、「サインバスケ」です。


※サインバスケの詳細は
B-ALLY'd(ビバリード) 公式 HP より
https://b-bally-d.com/signbasketball/
● 日頃、どのように練習しているのですか?

     川/今は埼玉と東京で活動している、2つのチームに入っていて、1週間に1~2回、基本的に、土日で
練習しています。年齢が私より上の人が多い中で対人練習をして、自分のスキルを磨いています。

   ● 2025年 デフリンピックの東京開催への想い
    川/東京でデフリンピックを開催されるということを知り、この大会に出たいと強く思いました。今ま 
    で、世界大会は2回経験したのですが、デフリンピックは経験したことがありません。競技を通して、日
    本の中で、デフリンピックの存在を数多くの方に知ってもらえたらいいなと思います。

    須/デフリンピックは、歴史が非常に深い大会です。その歴史の中で、初めて東京で開催されることにな    
    ります。日本生まれ、日本育ちですので、ぜひ国内の皆様からご協力をいただきながら、今までの人生の
    全てをかけるくらいの気持ちで、皆さんと一緒に、デフリンピックを盛り上げていきたいなと思っていま
    す。

    その思いを形にする一つとして、デフバスケの女子代表が、まずメダルを取るということを大変強く思っ   
    ています。

   ● デザイン案の制作を担う学生へのメッセージ
     川/デフリンピックを数多くの方に知ってもらうために、デフリンピックの顔となり、たくさんの方に 見てもらえるようなエンブレムを期待しています。

須/デフリンピックがこの日本で開催される、長い歴史の中で、初めての自国開催というのは非常に大き
なことだと思います。その中で、家族や友人や多くの方に応援してもらえるような、多くの人の気持ちを
動かせるようなデザインをぜひ考案してもらえたらなと思います。

■ 全日本ろうあ連盟理事(デフリンピック運営委員会 事務局長) 倉野 直紀氏より
  2025年のデフリンピックは、デフアスリートが主役になることをコンセプトにしていますが、アスリートだ  
  けでなく、皆さんも主役の一人です。デフリンピックでは、デフアスリートとしての、夢の舞台に位置づけら
  れていますが、そのデフリンピックに皆さんも夢を持って挑戦していただきたいと思っています。

  デフリンピックは、きこえる人、きこえない人が共に手を取り合って、バリアをなくしていく、共生社会を実  
  現させる、きこえない人が生きていける社会をつくることを目指しています。

  日本国内には何万人もの聴覚障害の子供たちがいます。そのお子さんたちが、皆さんが制作する2025年大会  
  のエンブレムを見て、これをろう者がデザインしたのだ。自分もいつか、こういうふうになれるのではないか
  という夢を持っていただけるのではないでしょうか。そこに夢を抱くだけではなく、今後のきこえない子供た
  ちに新たな種を渡してもらえるようなものにしてもらいたいと思っています。そういった挑戦をこの場でして
  もらえたらと思います。

■ 学生のコメント
   私はデフサッカーをやっており、東京大会を目指しています。私は、選手としてだけでなく、他の関わり方
もしたいと思っていたときに、この話を聞き、ぜひ参加したいと思いました。デフスポーツの存在がオリンピ
ックやパラリンピックに比べると低いと思っており、せっかくデフスポーツを知ってもらえるチャンスがこの
東京で開催されるデフリンピックなので、エンブレムには、未来のデフの子供たちが活躍できる機会が増える
ものにしたいという思いを込めたいです。

大学の先生にお声がけをいただいたことがきっかけで、エンブレム制作に参加することにしました。未来のき
こえない子供が、壁を乗り越えられるような、希望を与えられるようなデザインをつくってみたいと思いま
す。

■ 今後のスケジュールについて
  デザイン案の制作がスタートし、8月下旬ごろにグループワークにおいて、複数案から都内の中高生の投票に  
  より決定する予定です。
手話通訳・ユニバーサルコミュニケーションを使用したオリエンテーションの様子




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