乃木坂46 6期生による単独公演『新参者 二〇二五 Live at THEATER MILANO-Za』が11月30日、千秋楽を迎えた。
【写真】乃木坂46の初期の人気楽曲なども披露したライブの様子
『新参者 二〇二五 in TOKYU KABUKICHO TOWER』というイベントは、坂道グループと東急歌舞伎町タワーとのコラボレーション企画となっており、東急歌舞伎町タワー内での特設物販スペースの設置やコラボフードの販売、さらには東急田園都市線、東急東横線の車内ジャックなど、多岐に渡る展開が行われてきた。
そして、坂道シリーズの各グループの新人たちが約1ヶ月にわたり白熱のステージを繰り広げる『新参者 二〇二五 LIVE at THEATER MILANO-Za』。2023年以来の二度目の開催となった今回は乃木坂46 6期生、日向坂46 五期生、櫻坂46 四期生が各10公演実施し、加入1年に満たない成長過程の“新参者”たちが、今できることをそれぞれの形で示してみせた。
休業中の小津玲奈を除く10名で『新参者』に臨んだ乃木坂46 6期生は、影アナにて瀬戸口心月が「1曲目はペンライトを消してお楽しみください」と告げてからステージに立つことに。「Overture」に続いて会場が暗転すると、6期生の面々は限られた照明の中で「君の名は希望」を歌い始める。彼女たちの歌に焦点を当てたこの演出を前に、観客は10人の美しいハーモニーにじっくり耳を傾けた。
しっとりとスタートした『新参者』大千秋楽だが、増田三莉音の「ここから始まる6期生の物語。皆さん、最後まで見届けてください」のメッセージとともに、「制服のマネキン」にて熱量が一気に加速。普段のおっとりした雰囲気を封印し、クールな佇まいの増田に対し客席から大きな声援が送られる。
続く「走れ!Bicycle」では愛宕心響をセンターに迎え、初期の乃木坂46のイメージと重なるフレッシュさでフロアを温め、「おいでシャンプー」では鈴木佑捺を筆頭に柔らかな空気で会場を包み込む。そして、乃木坂46の初期楽曲で固められた最初のブロックは、川端晃菜センターによる「ぐるぐるカーテン」にて優しく締めくくられた。
長嶋凛桜を中心に展開する最初のMCでは、彼女の「この10公演で積み重ねてきたものを全部出し切りたい」を皮切りにメンバーそれぞれが千秋楽に対する意気込みを口にしていく。そんな中、矢田萌華は「私は初日に『6期生が入ってきたから大丈夫だ、と皆さんにも先輩方にも思ってもらえるように成長していきます』と言ったんですけど、この10人で支え合いながら成長してきたので、今日のパフォーマンスにすべてをぶつけて、『やっぱり6期生最高だよ』と思ってもらえるように、最後まで頑張ります!」と力強く宣言。
その一方で、増田は「今日は外が寒いと思うんですけど、この会場は冬なんかに匹敵しないぐらい温かくしていきたいなと思うので、みんなで頑張ろうね」と彼女らしいワードセンスで場を和ませたかと思えば、「最近はこうしよう、ああしようと意見を交換して、いい意味でぶつかり合えているので、それがこの最終公演にいい影響をもたらすんじゃないかなと思うので、チームワークにも注目してもらえたら嬉しいです!」とポジティブなコメントを寄せる。そして、観客との「突き抜けろ!」「6期生」のやり取りをともに、会場はアットホームな空気に包まれた。
その後、矢田の「私たちが乃木坂46 6期生です!」の言葉に続いて、ライブは六期生のデビュー曲「タイムリミット片想い」で再開。続く「なぜ 僕たちは走るのか?」で会場の盛り上がりがさらに加速すると、瀬戸口をはじめとするステージ上の10人は笑顔を振り撒きながら全力のパフォーマンスを届け続ける。そんな6期生オリジナル楽曲で作り上げた熱狂の空間は、海邉朱莉センターの「ハウス!」へと引き継がれ、ライブに欠かせないこの曲を通して客席のファンと積極的に目を合わせにいく。
以降も大越ひなのが「皆さんの声、もっと聞かせてください!」と叫ぶことでオーディエンスのコールが一際大きくなった「狼に口笛を」、長嶋の煽りを受けて熱気が沸点へと接近する「おひとりさま天国」と、新旧の人気曲連発で会場の空気を掌握していった。
6期生春組の川端、瀬戸口、長嶋、矢田によるトークで再び会場の空気が和らぐと、続いては今回の『新参者』の恒例企画となったソロ楽曲コーナーに突入。川端が次に歌唱するメンバーからの手紙を代読するのだが、そこでは「変わりたい、成長したいと決心して、でもできない自分に挫けそうになるとき、この曲はそんな私を励ましてくれ、『やるしかない』と勇気と覚悟を決めることができます。隣で一緒に頑張っている同期、いつも何かを頑張っている皆さん、そして今から歌う私へ。弱い自分を見つめることも、悔しさを抱える自分も全部大事にして、諦めずに信じていてほしいという思いを込めて、この曲を届けます」と選曲理由が記されていた。
こうして、もうひとりの春組メンバーである海邉が「いつかできるから今日できる」をソロ歌唱。深みのある歌声で、この壮大な楽曲を丁寧に歌い紡いでいく。堂々と歌い終えた海邉が「今を大切に、信じていてください」とメッセージを残してステージを去ると、彼女と入れ替わるように愛宕、大越、鈴木、増田、森平麗心の5人で3期生楽曲「未来の答え」を元気いっぱいに披露。また海邉、川端、瀬戸口、長嶋、矢田の5人は4期生楽曲「キスの手裏剣」を楽しげに歌い踊り、客席を柔らかな空気で包み込んでいく。
再びステージに10人が勢揃いすると、川端をセンターに据え5期生楽曲「いつの日にか、あの歌を…」を歌唱。先輩メンバーが大切にしてきた期別曲を10人で表現するその姿は、グループの長い歴史や先輩たちの熱い思いを体に染み込ませているようにも見えた。そして、グループの大切な局面で歌い継がれてきた「設定温度」にて、この期別曲ブロックは幕を下ろした。
これまでの道のりと新たに得た感情を、メンバーが1人ひとり口にしていく中、瀬戸口が「次に披露する曲は、私たち6期生が乃木坂46に入って初めて覚えた楽曲です。私たち11人を、ずっと見ていてください」と告げ、代表曲のひとつ「シンクロニシティ」を華麗に舞い踊る。さらに、鈴木が先頭に立つ「帰り道は遠回りしたくなる」へとつなげ、“乃木坂らしさ”が色濃く表れた楽曲群を彼女たちなりに大切に表現してみせた。
10人の息が合ったダンスで場の空気を変えると、大越をセンターに迎えた「ごめんねFingers crossed」でライブも終盤戦に突入。クールな側面を強く打ち出した同曲から、矢田が中心に立つ「Same numbers」でもこの空気は引き継がれていく。そして、メンバーが横1列に並び深々とお辞儀をすると、「きっかけ」へと突入。1人ひとりが胸に抱えるものを発露するように紡がれる歌声は、会場を彩り豊かに染め上げていった。
本編ラストナンバーに入る前、森平が「私たち6期生は大好きな乃木坂の曲を、1つひとつ大切に披露させていただいてきました。この期間は6期生で励まし合って、どんなにつらいことがあっても全員で、小津ちゃんの分も一緒に頑張ってきました。そして、この『新参者』を通してもっと乃木坂46が大好きになりました」と現在の心境を吐露すると、オーディエンスを煽ってから「市営ダンスホール」へ突入。アッパーなビートに乗せて、ステージ上の10人は全身を使ったダイナミックなダンスで観る者を魅了して、ライブ本編を終えた。
「裸足でSummer」から始まったアンコールでは、一部のメンバーが一部のメンバーが2階&3階バルコニー席に登場するサプライズも用意。この演出に観客は喜びを隠せず、大声援で彼女たちを迎える。「あらかじめ語られるロマンス」でさらに一体感を高めると、瀬戸口&矢田がダブルセンターを務める最新シングル曲「ビリヤニ」の6期生バージョンを初披露。客席はこの日一番と呼べるほどの盛り上がりを見せ、ライブは千秋楽に相応しい熱気に包まれた。
瀬戸口が「6期生のみんな、ここまで一緒に走り抜けてくれてありがとう!」と同期に感謝を伝えつつ、「今日で『新参者』はひと区切りとなるんですけど、この期間でこの6期生と一緒ならどんな坂も登っていけそうだなと思えたました」と本音を口にすると、「乃木坂の詩」で会場を紫一緒に染めてエンディングへ。森平の「6期生はまだまだ成長していけると思うので、乃木坂46というグループの一員として貢献できるような人間になって、もっと坂道を登っていきたいと思います」という挨拶とともに、10人は満面の笑みを見せながらステージを去っていった。
予定していた演目をすべてやり切ったものの、6期生を求める「乃木坂46コール」は一切鳴り止むことはない。すると、再度ステージに登場した6期生は最後の最後に「なぜ 僕たちは走るのか?」をプレゼント。10公演を完走した喜びを客席、そしてモニターの前のファンとともに分かち合った。
矢田が「ダブルアンコールをもらえると思っていなくて。それだけ私たちの『新参者』公演を楽しんでもらって、もう1回観たいと思ってもらえたことがすごく嬉しかったです」と感謝を伝えると、最後は瀬戸口の合図で「突き抜けたぞ!」「6期生!」とメンバー、観客が叫んで約1ヶ月にわたる『新参者 二〇二五 LIVE at THEATER MILANO-Za』公演は完結した。
先輩やファンに認めてもらえる存在になれるよう、坂道シリーズの各グループの新人たちが切磋琢磨を続けた今回の『新参者』。それぞれが完遂した10公演を経て、彼女たちがどんな存在に変わっていくのか、そしていつの日かグループを牽引する重要なメンバーへと成長するのか。今後も“新参者”たちの奮闘ぶりをぜひ見守っていただきたい。
(文/西廣智一)




