橋本愛が語るていの蔦重への想い 夫婦の関係性の変化とは「すごく楽しみ」【大河「べらぼう」インタビュー後編】 | NewsCafe

橋本愛が語るていの蔦重への想い 夫婦の関係性の変化とは「すごく楽しみ」【大河「べらぼう」インタビュー後編】

芸能 モデルプレス/ent/wide/show3
横浜流星、橋本愛「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第26話(C)NHK
【モデルプレス=2025/08/10】俳優の横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)で主人公の妻・ていを演じる橋本愛(はしもと・あい/29)がモデルプレスらの合同インタビューに応じた。今回「西郷どん」(2018年)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年)、「青天を衝け」(2021年)に続き4作目の大河ドラマ出演となる橋本。後編では、横浜とのシーンの収録エピソードや、今後の夫婦の関係性について語ってもらった。【後編】

【写真】大河「べらぼう」てい(橋本愛)の芸者姿

◆横浜流星主演大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」

本作は“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快男児・“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)が主人公。森下佳子氏の脚本で、笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマを描く。

ていは、市中の本屋の娘で、謹厳実直(きんげんじっちょく)で控え目な女性だが、それが故に損ばかりをしてきた過去をもつ。ある種、世慣れた女郎たちが集まる吉原で育った蔦重にとっては非常に慣れないタイプの女性であり、ていにとっても蔦重はその出自も含めて受け入れがたい存在であった。商いのための形だけの夫婦として結婚した2人だったが、「本を愛する」という共通点が絆となり、いつしかかけがえのない存在となっていく。

◆橋本愛、横浜流星が作る座長としての空気感明かす

― 横浜さんとの共演の感想と、座長ぶりについて教えてください。

橋本:元々抱いていた印象は、ストイックで実直な方。初めてお会いしたときに、体幹がすごくしっかりしていて着物が似合っていらっしゃるので、武士みたいな迫力のある方だなと思いました。実際にお話してみるとすごくフランクでユーモアのある方で、空き時間も共演者やスタッフさんと冗談を言って笑い合っていたり、とてもフラットで心強くて助かっています。座長としては、横浜さんが蔦重をどう演じるかをいつも誠実に真面目に考えて演じていらっしゃるのが伝わるので、それはスタッフ・キャストにもちゃんと伝播していて、「しっかり取り組もう」という空気感は横浜さんの姿勢によって生まれているものだと思います。

― 横浜さんの演技に特に刺激を受けたシーンは?

橋本:ずっと刺激を受けています。祝言のシーンが私のクランクインだったのですが、本当に1日中何度も同じ芝居を撮っていて風間さん(風間俊介/ 鶴屋喜右衛門役)も長いセリフをずっと演じていたんです。今までの鶴屋さんとのクライマックスのようなシーンでしたが、蔦重さんの「いただいた暖簾、決して汚さねえようにします!」という正面のカットの収録が終盤で、これだけやっていたら気持ちもすり減ってこないかなと思っていたんですけど、すごく爆発力のあるお芝居をされていたので「私も見習おう」と思いました。

◆橋本愛、ていの蔦重への想い プロポーズは「これ以上ない」

― ていが、蔦重に対して「好き」という気持ちが一番盛り上がったのは、どのタイミングだったんでしょうか?

橋本:一番大きい出来事は浅間山の噴火が起こった後のシーンで、競争で灰の片付けを早く楽しく終わらせた蔦重さんに、ていさんは度肝を抜かれたと思います。ていさんが真面目に自分を律し続けてきて、遊びや余白がないというか、隙間なくきっちりと生きてきた人だったからこそ、遊びによってこんなに豊かな発想が生まれたり行動できたり、日本橋のみんなを笑顔にするという自分にはできなかったことを成し遂げている姿を見て、敵わないなと思ったのが最初の感情でした。そこからは自分の非力さに打ちひしがれることもあったのですが、嫉妬などの黒い感情に巻き込まれることもなく、素直に蔦重さんを尊敬する気持ちを抱いていったんだと思います。最初に人として好きになった感情が、2人の境界線みたいなところをどんどんと溶かしていったのではないでしょうか。

― 蔦重に出家を止められた際(第26回)はどんな心境だったと思いますか?

橋本:一言で言えば本当に嬉しかったです。「おていさんのことつまんねえって思ったことねえですぜ」と言ってもらえたのも、ていさんはずっと人からそう言われてきて、自分でも「私はつまらない人間だな」とレッテルを貼って生きてきた人だと思うから、自分の人生を丸ごと肯定してくれる言葉が本当に嬉しかったと思います。今までていさんにとってそういう存在は多分父親だったと思うんですけど、その父親を亡くして本音を語れるのが和尚さんしかいないくらいの状況だったので、自分のコンプレックスだと思っていたところをある種の才能と認めてくれて本当にこれ以上ない気持ちでした。

あとは「この人ならこの先、山があって谷があっても一緒に歩いてくれんじゃねえか、いや、一緒に歩きてえって」という台詞。丸屋が傾いたのは元夫のせいで、ていさんの責任じゃないはずだけど、ていさんは絶対に自分の責任だと思い込んでいるからどこかで自分を責める気持ちがたくさんあって、蔦重さんに惹かれれば惹かれていくほど「この人を不幸にしてしまったらどうしよう」「自分がまた店を傾かせる原因を作ってしまったら」という気持ちがあったと思います。だから「谷があってもともに生きていきたい」というのはこれ以上ないプロポーズだと思います。

実際の収録では涙したテイクもあったんですけど、ていさんは涙を見せない強さもあるんじゃないかなと思ったのと、「おていさんは、俺が俺のためだけに目利きした、俺のたったひとりの女房でさ」という台詞に対しては逆に「本当かな」と疑っている部分もありました(笑)本来なら泣いて喜ぶ台詞なんだけど、元夫のトラウマもあって考え方の癖として「信じて良いのかな」という不安がゼロではなかったと思います。不安だと思う気持ちもあるけどこの人を信じたいと思う気持ちが愛情だと思うから、ていさんも蔦重さんを愛していることを自覚したシーンだったと思います。

◆橋本愛、ていにとっての瀬川や歌麿の存在とは

― ていの「もっと華やかで才長けた、例えば、吉原一の花魁を張れるような、そういうお方が相応しいと存じます」という台詞にはドキッとさせられましたが、蔦重と瀬川(小芝風花)の関係について、ていさんは知っていたのでしょうか?

橋本:知らないと思っています。蔦重に過去にそういう大切な人がいたという話を聞いていてもおかしくはないけど、そういう人がいたと知っていたからではなく、蔦重にはそれほど美しく才がある人がふさわしいのではないか、という大きい視点で捉えて演じていました。

― 第26回では喜多川歌麿(染谷将太)の蔦重への気持ちも描かれますが、ていさんは歌麿の気持ちに気づいていたと思いますか?

橋本:歌麿さんは蔦重さんの大事な家族のような存在だからていさんにとっても大事な存在ですが、歌麿さんからしたらていさんは気に食わない存在なので、噛み合わないところはもちろんあって、一方で蔦重さんへの気持ちには気づいていないと思って演じています。というのも、単純にていさんも恋愛経験がひどく少ない方なので、蔦重さんほどではないけど、鈍感でそういった人の感情の機微には気づかないと思うので(笑)そこまで考えが及ばないからこそ蔦重さんに対しての想いが深まっていくのであって、ていさんの性格でもし気づいていたら歌麿さんに遠慮しそうなので、進展しないのかなと思いました。

◆橋本愛、ていと蔦重の関係性の変化とは 今後の展開は「すごく楽しみ」

― 森下さんの脚本の魅力はどこにあると思われますか?

橋本:森下先生の描く女性は、主人公の男性のために機能する存在ではなくて、ちゃんとその女性自身の人生をまっとうに生き抜いているところが好きです。瀬川さんや誰袖さんと比べると、ていさんは妻という立場上、当時の時代背景を考えても主体的に人生を生きる姿を描くのは難しい部分もあると思うのですが、ていさんがこれから女将として、どんどん主体的になっていくんです。その強さを描いてくれているのが本当にありがたいですし、私も能動的なお芝居を心がけています。

― 今後の展開について、蔦重との関係の変化や、注目してほしいポイントを教えてください。

橋本:収録もこれからなのですが、私自身が楽しみにしていることは、ていさんがどんどん1人の女性として自立していくことです。今でももちろん自立されているんですが、もっともっと強くその幹が太くなっていく感じで、蔦重さんと初めて衝突したり意見を言い合ったり対等な関係になっていくのを、すごく楽しみにしています。

― 寛政の改革が始まり、蔦重にとっては試練の時代がやってきますよね。

橋本:そこで割と意見が夫婦で分かれることがあるのですが、それで離れていくのではなくてむしろ全く違う意見を持っているからこそ、意見をぶつけ合って逆に関係性が深まっていくところもあります。「もうこんなことを言い合うようになったんだ」というシーンも出てくるので、夫婦として新しいフェーズに入るというか、おしどり夫婦や阿吽の呼吸というくらいになっていく過程が描かれていくので、全く違うステージに行きます。蔦重さんにすごく引力があるので、ていさんはそこに引っ張られないように強く自分を持たないといけないのですが、2人の視点を描くことで、視聴者のみなさまにもどう受け取ってもらえるんだろうとすごく楽しみにしていますし、ていさんの信念を大事に演じたいと思います。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

◆「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第31回(8月17日放送)あらすじ

利根川決壊で大洪水の江戸。蔦重(横浜流星)は、新之助(井之脇海)らを気にかけ深川を訪れる。一方意次(渡辺謙)は、体調を崩した家治(眞島秀和)からある話を聞く…。

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《モデルプレス》

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