4月30日、5月1日の2日間にわたり、千葉・幕張イベントホールで「13th Single ひなた坂46 LIVE」が行われた。ひなた坂46は、アイドルグループ・日向坂46のシングル表題曲を歌う選抜メンバー以外で構成されたグループ。今回は13枚目シングル「卒業写真だけが知ってる」のフォーメーションを元に、座長の富田鈴花をはじめとする9名のメンバーが集った。また、2日目のライブでは、日向坂46の最後の一期生メンバーである高瀬愛奈が卒業セレモニーを行った。オフィシャルレポートでは、この2日目の模様をお届けする。
ライブは、久々の披露となる富田のオリジナルラップで開幕。そのまま自身がセンターを務める「あの娘にグイグイ」を歌う。花道に広がってパフォーマンスする9人のメンバーたちに、ファンは開演早々、特大のコールを送った。
続いて、日向坂46のキャプテンに就任したばかりの高橋未来虹がセンターとして「雪は降る 心の世界に」を、平岡海月がセンターで「孤独たちよ」をパフォーマンス。さらに、グループ最年少の渡辺莉奈が11枚目シングル表題曲「君はハニーデュー」のセンターを務めた。ひなた坂46ライブでは、こうして様々なメンバーがセンターを務める姿を見ることができるのも魅力だ。
MCでは、卒業セレモニーを控えた高瀬愛奈が「昨日に引き続き、今日も早速めちゃくちゃみなさんからもアツさを感じていて。今日もほんとに最高のライブになるんじゃないかなっていう予感がすでにしています。頑張ります!」と意気込みを語った。
ここからはユニットに分かれてパフォーマンス。富田と四期生の3人が「この夏をジャムにしよう」を花道で披露。さらに、高瀬センターで「43年待ちのコロッケ」を歌う。
続くMCでは、座長の富田が、ひなた坂46のリハーサルは笑いが絶えないと語りつつ、忙しくなってくると自分の精神を乖離させて「このへん(頭の上)で楽しめるようになった」と妙なエピソードを披露。また、長丁場のリハの日は、高橋未来虹が「白米、納豆、ポテチ、ラーメン、カフェラテ、おそば」などの食料をバッグに詰めて、遠足気分でやってくるということを石塚瑶季が明かしていた。
ここからの3曲は、曲ごとに衣装を替えながら再びユニットでパフォーマンス。「どうする?どうする?どうする?」「どこまでが道なんだ?」を続けて披露した後、富田がソロで「シーラカンス」を歌う。カラオケ番組でも活躍する歌唱力で観客を魅了した。
MCを挟んだ後のダンストラックでは、赤の衣装を着たメンバーたちが激しいダンスを披露。そのまま、全員で「膨大な夢に押し潰されて」をパフォーマンス。この曲は、卒業生の加藤史帆に可愛がられていた小西夏菜実が、センターで歌った。そして日向坂46のダンス最難関曲のひとつ「アディショナルタイム」へ。間奏では、この日限定のオリジナルダンスも披露し、センターの清水理央を中心に会場を沸かせた。
そして石塚瑶季と竹内希来里のWセンターで「永遠のソフィア」、高瀬愛奈のセンターで「君を覚えてない」を歌唱する。このブロックの最後は、11枚目シングルのひなた坂46 LIVEの座長を務めた高橋未来虹のセンター曲「錆つかない剣を持て!」。ここでも、間奏でオリジナルの激しいダンスを披露した。
ここで、今回のライブのリハーサルに密着したVTRが流れた後、ステージ上に真っ白な衣装を着たメンバーたちが登場。座長の富田が「ひらがなひなた(ひなた坂46)になって良かった、心からそう思います」と、グループにかける気持ちを語り、自身の名前を冠した曲「SUZUKA」を歌唱した。続けて、日向坂46のファンへの気持ちを綴った楽曲「知らないうちに愛されていた」を歌う。最後の大サビでは客電が上げられ、ファンと盛大なシンガロングを行った。
アンコールでは、高瀬の愛称である「まなふぃ」コールが発生。会場は、高瀬のサイリウムカラーであるピンクと白のサイリウムで埋め尽くされた。そして高瀬の加入直後からの貴重な映像をまとめたVTRが流された後、銀色のスパンコールを散りばめたドレスを着た高瀬がステージに上がる。そして用意してきたメッセージを読み上げた。
「約9年間の思いや感謝をこのスピーチだけで伝えるのは、とっても難しいですが、少しでもみなさんに伝わっていればいいなと思います。今日もたくさんの方が会場に来てくださったり、配信で観てくださっていて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。イベントに参加してくださるだけでなく、いろんな応援の仕方で、みなさんからの声が伝わっていました。
私はもともと坂道グループが大好きでオーディションを受けました。合格するとはまったく思ってもいなかったので、合格したときは、これからの人生どうなるんだろうと、当時17歳で高校生だった私は、両親の顔を見て、わくわくと不安でいっぱいになりました。ですが、自分から何かをやりたいと強く思ったのは、このアイドルになりたいという夢が初めてだったので、最後の日まで全力で楽しもうと自分では決めていました。
最初、欅坂46の妹グループとして集められたひらがなけやき(日向坂46の前身グループである「けやき坂46」)に加入して、そのグループが日向坂46に改名し、そしてひらがなのひなた坂46の制度ができ、この歴史をすべて経験してきた数少ないメンバーのうちの一人となりました。まさか私が最後の一期生になるとは想像もしていませんでしたし、予想外の出来事でしたが、一人になってしまったこの期間も、みなさんの支えのお陰で走り抜けることができました。
この9年間、楽しいことも辛いこともたくさんありました。スタッフのみなさんやメンバー、周りの環境が変わったり、出会いや別れもありましたが、今回のセレモニーもいろんなスタッフのみなさんが一緒に考えてくださったお陰で、無事に開催することができました。
約9年間の時が過ぎ、右も左もわからなかったただの高校生だった私を初期の頃から近くで支えてくださっていた方は、今ではとても少なくなってしまいました。ですが、こうしてたくさんの経験をして、いろんな方と会えることで、アイドルとしても人としても成長することができたと思います。歌やダンスはもちろん、ラジオやお芝居や撮影、そして、バラエティをすることが、「ひなあい」(日向坂46の冠番組「日向坂で会いましょう」の略称)のおかげで本当に大好きになりました。関わってくださった皆様、本当に感謝しています。
そしてメンバー。今まで本当にありがとう。みんなのことが大好きすぎて、毎日一緒にいたからこそ、これからみんながいない生活が始まると思うと、なかなか想像がつかなくてさみしいけど、いつまでも味方だし、この関係性はずっと変わらないと思います。こんなに素敵なメンバーと出会えて、一緒に活動できて嬉しかったです。これからも日向坂46のことを応援しています。新しい日向坂46がどうなっていくのか、とても楽しみです。
五期生のみんな。日向坂46に入ってきてくれてありがとう。少しだったけど、みんなとお話ができて嬉しかったよ。素敵な先輩たちがたくさんいるので、安心してのびのびと活動してね。
四期生のみんな。いつもたくさん話しかけてくれて、みんなの明るさにとても元気をもらっていました。初めて先輩という立場になるけど、四期生らしく頑張ればきっと大丈夫だと思います。
三期生のみんなは、いつまでもかわいい三期生っていうイメージだったけど、いつの間にかすっかり頼もしくなってくれました。どんなときもまっすぐに頑張っている三期生のみんなが大好きです。
二期生のみんなとは長い時間を一緒に過ごしてきて、苦楽をともにした仲間という意識が強かったです。たくさん支えてくれたり、時には笑わせてくれたり、みんなと一緒にグループを作り上げることができて嬉しかったです。
そして、同期の一期生は、今日も見に来てくれてたり、一緒にステージに立ちたいよって言ってくれてたり、ほんとに何度ありがとうと伝えても伝えきれません(涙で言葉が詰まる)。こんなにもお互いのことをわかりあえて、何でも言い合える家族のような存在になれたことに感謝です。このメンバーでなかったら、ここまで続けられていなかったと思うし、全員が集まったときの、どんな状況にでも勝てるという「最強感」が大好きでした。もうすでに約束してるけど、またすぐ集まろうね。
そして、ファンのみなさん。どんなときでも味方でいてくださり、ありがとうございました。イベントがあったら会いに来てくださったり、感想を伝えてくださったり、おうちから応援してくださっていたり、私と一緒に喜んだり、悔しがったりしてくださって、みなさんと一緒にここまで歩んできたという感覚が大きいです。想像以上に、みなさんが持っているパワーっておっきいんです。みなさんがいてくださるからこそ、ここまで活動することができました。本当に出会えたことに感謝しています。
それだけではなく、家族や友達、本当にたくさんの支えのお陰で私は今日もステージに立てています。最後に、素敵なドレスを着ることができて、セレモニーを開催させていただけたこと、改めて感謝しています。約9年間、アイドルとして過ごした日々は一生の宝ものです。この景色を一生忘れません。今まで本当にありがとうございました。
2025年5月1日、日向坂46、高瀬愛奈
ここから、高瀬が最後に歌いたかったという楽曲を披露。まずは、「ビジネス共演NGコンビ」という設定で仲の良さを見せていた加藤史帆のソロ曲「嘆きのDelete」を歌う。
続く3曲は、シングル表題曲の選抜メンバーたちも登場。四期生たちと「雨が降ったって」、三期生と「青春ポップコーン」、二期生と「自販機と主体性」をパフォーマンスした。最後の一期生である高瀬の卒業セレモニーにふさわしいサプライズに、観客は一層大きなコールで応えた。
そしてこのブロックのラストは、高瀬にとって思い入れの強いけやき坂46時代のユニット曲「夏色のミュール」を河田陽菜、森本茉莉、宮地すみれと歌った。
MCでは、メンバーがそれぞれ高瀬との思い出を語る。河田は、昨年12月から高瀬と写真を撮ることにハマっており、ブログ等で一切公開しないプライベートな写真を溜めているという独特のエピソードを披露。森本は、高瀬のことを「ずっと見守ってくれるお母さんというか、お守りみたいな(笑)」存在だと語った。
そして高瀬がアイドルとして最後に歌ったのは、「JOYFUL LOVE」。メンバーたちが花道に立つ中、高瀬はゴンドラに乗ってアリーナを一周し、ファンに手を振った。そのまま、メンバーひとりひとりから高瀬に花が贈呈される。多くのメンバーが涙を流しつつも、笑顔で高瀬を見送ったところに、後輩からも愛される高瀬の人柄が伝わってきた。さらに、先日卒業した同期の佐々木久美、佐々木美玲からの手紙も読み上げられた。
高瀬がステージを降りてからは、他のひなた坂46メンバーがダブルアンコールに応えて「SUZUKA」をもう一度パフォーマンスし、ひなた坂46としてのライブを締めた。
特技のドローン操縦や、謎に包まれたプライベートといった唯一無二のキャラクターで、グループに彩りを添えてきた高瀬。彼女の卒業で、日向坂46の一期生は全員いなくなる。だが、先日加入した10人の五期生が、5月27日に東京・国立代々木競技場第一体育館で「おもてなし会」を開催。28日、29日には、同所でグループとしての公演 BRAND NEW LIVE 2025 「OVER THE RAINBOW」を行う。高橋未来虹キャプテンのもと、新体制となった日向坂46がどう変化するのか見届けたい。
(文/西中賢治)
※高橋未来虹の「高」ははしごだか