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ヤフーショッピングはステマか?

社会 コラム
「Yahoo!ショッピング」は、出店者が広告料を多く支払うことで、検索結果の「おすすめ順」上位にくる仕組みになってるものの、「広告」等と表示してないことを、朝日新聞が6月28日に伝えました。専門家として、弁護士の「宣伝であることを隠すのはステルスマーケティング(ステマ)にあたる」というコメントをも紹介しています。ネットショッピングでの、こうした手法が今後、問題になる可能性ができています。

朝日新聞の記事によりますと、この「Yahoo!ショッピング」の手法は「PRオプション」というもの。「Yahoo!ショッピング」では、「売れている順」、「安い順」や「高い順」、「レビュー件数の多い順」での表示があります。「PRオプション」は「おすすめ順」のときに点数が上乗せとなる、といいます。15年4月からこの方法を採用し、16年9月に特許も取得しています。

「おすすめ順」の仕組みはまず「商品価格へ評価」があります。これ自体は、同じ商品であれば、安い順に並べられます。これは利用者に見えやすいものです。それに加えて、サービスの評価が加えられます。利用者が主観的に判断しているものに加えて、広告料として、商品の価格の1~30%の支払いを約束すると、点数が上乗せになります。

「広告料」で、表示される順位があがること自体は、楽天でも行なっています。しかし、楽天では[PR]との表示があり、広告賞が支払われている宣伝であることが利用者にはっきり示しています。

ヤフーは朝日新聞の報道を受けて、「おすすめ順とは?」というヘルプ欄での説明に、「Yahoo!ショッピングはモール型のインターネット通販カタログです。その一部についてはストアから広告料金をいただいています」を加えました。しかし、その商品に広告料が入っているのかは[PR]や[広告]などと明示されているわけではありません。

ヤフーの執行役員は朝日新聞の取材に対してこう答えています。

「ショッピングサイトは、お店に対して広告を掲載する場所を提供しているものだ。サイト自体が広告のかたまり、電子カタログみたいなものだと考えている。利用者は、最初から全てが広告だと分かって使っているはずだ」

しかし、利用者にとってはある商品の順位が「PRオプション」によって上がっているのかどうかの判断材料がありません。

朝日新聞に「電子カタログだ」と執行役員が答えたために、ヤフーは即日、「おすすめ順」の説明に「インターネット通販カタログ」と付け加えたとも想像できます。たしかに、商品の順位なんて、何か意図的な操作があると思っているユーザーもいるかもしれません。しかし、そんな見分けがつく利用者ばかりではありません。だからこそ、記事でも広告料が支払われている場合はわざわざ[PR]や[広告]という表示を入れるのです。

こうしたステマ手法に鈍感になっているのは、ネットというメディアを誤解しているからでしょう。たしかに、ネット利用者はリテラシーが高いので騙されないと思っているのかもしれません。しかし、そうした利用者を前提としたサイト運営は不誠実です。まるで、「オレオレ詐欺なんか、何度も報道されているのだから、騙されるほうが悪い」と言っているのと変わりがありません。

いまやヤフーニュースのトピックに載るかどうかで記事の読まれ方が違う時代です。だからこそ、トピックにあげる担当者・トピッカーは社内でさえ知らないことになっています。ヤフーというポータルサイトは、それだけの影響力がすでにあります。ネット界では「ヤフー1強」となって久しいですが、もっと利用者の実態に即したサービスを展開してほしいものです。
[執筆者:渋井哲也]
《NewsCafeコラム》
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