自殺が多くなる夏休み明けにできることは? | NewsCafe

自殺が多くなる夏休み明けにできることは?

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昨年の自殺対策白書によると、18歳以下の子どもが自殺した日について、人口動態統計をもとに42年間のデータをまとめたところ、夏休み明けの9月1日だけが3桁で、131人で突出していることがわかっています。ついで4月11日の99人、4月8日の95人、9月2日の94人、8月31日が92人となっています。始業式の前後が比較的多くなっています。

今年も青森県で自殺が相次ぎました。始業式の翌8月25日、青森市の中学二年生がJR駅構内で列車にはねられ死亡しました。スマホには「遺書」と書かれたメモが残っており、「もう耐えられません。いじめてきたやつら、自分でわかると思います。二度としないでください」と書かれていました。また始業式を前にした8月19日、東北町の中学一年生が自宅敷地内の小屋で自殺しました。「いじめがなければもっと生きていた」との遺書が発見されています。

また、夏休み中の子どもの自殺に関する報道は、8月10日、東京都立川市のJR立川駅で、女子高生が電車にはねられました。防犯カメラの記録から自殺とみられています。また、8月13日、東京都練馬区東大泉の西武新宿線大泉学園駅で、中学生がはねられました。目撃証言から自殺の可能性が高いとされています。8月26日、千葉県松戸市の北総線秋山駅で、女子高生がはねられました。ホームのカメラの記録から自殺とみられています。

何かが始まるとき、あるいは終わる時は節目となることがあります。なかでも、夏休みの終わり、新学期の始まりというのは解りやすい日付です。学校に行きたくないという理由があった場合、とても恐怖心を抱くことがあります。青森県の二人は遺書を残し、いじめが理由だということを示唆しています。しかし、遺書や日記などがない場合は理由がすぐにはわかりません。もちろん学校生活に起因する場合もあるでしょう。また、家族や友人、恋人に関連している場合もあります。

昨年9月、都立高校の一年生が山梨県大月市のJR大月駅で列車に飛び込み、死亡しました。LINEには遺書めいたメモが残されていました。Twitterのやりとりを含めて、いじめとははっきり書かれていませんでしたが、何らかのトラブルにより悩みを抱えていたことがわかっています。そのため、遺族の要望から都教委はいじめの有無、自殺との関連を調べる調査部会を設置しました。もうすぐ一周忌を迎えますが、まだ詳細はわかっていません。

報道では、各地のNPOや弁護士の団体などが、9月1日を前に、相談窓口を開設するとしています。たしかに自殺が多くなるこの時期に、SOSを受け止めるメッセージを発信したことは評価できます。しかし、自殺したいと思うほどの子どもたちは、この時期になったから悩みがはっきりするわけではなく、常にストレス状態です。この時期だから取り組みを強化するのではなく、常時、窓口を開いているべきでしょう。

いじめの場合、SNSで行われることがあります。「学校裏サイト」でいじめがあった時代とは様変わりし、第三者のチェックもままなりません。学校側もSNSを監視していますが、何がいじめに当たるのかは、当事者の関係性、SNSというメディア特性を考慮しなければわかりにくいのです。教員側からすれば、「いじめと思わない」やりとりもあります。

ネットいじめ対策事業「スクールガーディアン」をになうアディッシュは、中高生を対象にしたいじめ匿名通報アプリ「Kid's Sign」を活用しています。また、保護者向けの子ども見守りアプリ「Filii」を運営するエースチャイルドと連携することを発表しました。いじめの道具になるネットは、解決するツールにもなりえます。
[執筆者:渋井哲也]

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チャイルドライン(18歳未満、日曜を除く、16時から21時)0120-99-7777。
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