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子供の貧困率の改善を!

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子どもの貧困がなかなか改善されていません。貧困率というのは、世帯収入から国民一人当たりの所得を試算して、真ん中の人の所得の半分に届かない人の割合を指します。子どもの貧困率といった場合は、18歳未満の貧困率を指します。1985年には10.9%でしたが、2012年には16.3%で、6人に1人が貧困という状況です。ただ、飢餓などの絶対的貧困とは違って、なかなか目に見えにくいのです。

なかでも「母子世帯」の平均年間収入(平均世帯人員3.42人)は291万円です(中央値は240万円)。母子世帯といっても一様ではなく、生別では278万円ですが、死別では451万円と、170万円以上の差があります。朝日新聞(12月27日付)が綱渡りの母子世帯の記事を掲載しています。

ひとり親家庭に支給される「児童扶養手当」があります。子ども一人目は、年収130万円未満の場合は、月額で、41,720円。365万円未満の場合は所得に応じて、41,710円~9,850円。2人目は5,000円、3人目以降は3,000円です。ただ、2人目以降の増額が決まりました。一人目は変わらず、また所得制限はそのままですが、来年の8月分から、2人目は10,000円、3人目以降は6,000円となります。

ただ、所得だけでは母子家庭の苦しさはわかりません。実家が頼りになる場合は、保育園の送迎が祖父母に任せることができます。仕事の幅が広がり、家賃負担が軽減されます。一方で、実家を頼れず、親族の支援がない場合、仕事の幅が狭まります。実家との関係が悪い場合もあり、取材したケースであれば、収入が低いにもかかわらず、実家にお金を入れ、1日一回の食事をしている、という話もありました。

親の収入が高ければ、親自身が情報量が多く、子どもにも余裕があったり、様々な情報を得られる環境が備わっていたりします。また、人間関係の質や幅も学力に影響します。母子世帯の苦しさは、子どもの進路にも影響します。親の収入と子どもの学力との関係も言われることがあります

親の収入が低い場合、諦めてしまう子どもが多いとの話を聞きました。お金がないことを理由に、将来の進学や進路が狭まってしまう。子ども自身のせいではないのですが、運命論的に考えてしまっていたりします。もちろん、親の年収が低くても、高学歴で、かつ、社会的には安定した企業に勤めている人もいますが、あきらめがちな環境から抜け出せない子どもの方が多い印象があります。

こうした将来を諦めてしまう環境は、母子世帯だけでなく、親が障害を持っていたり、虐待家庭だったり、介護に過度な負担かかかっている家族も同じことがいえるでしょう。

あるイベントで、定時制高校の給食が廃止されることへの懸念が発表された一方で、経済的なことを理由に留学ができないと大学生が発言をしていたのです。もちろん、すべての子どもが経済的理由を考えることなく、将来の選択肢を考え、チャレンジできることが望ましいでしょう。しかし、現実的に考えると、どの程度の社会的にサポートが必要なのかを議論していかなければなりません。

OECD加盟国(34カ国)の「一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率」(2009年、家計への生活補助を含む)をみると、平均は8.7%ですが、日本は6.4%。チェコ共和国やハンガリーについで低い。ちなみに、韓国は10.8%、ニュージーランドは14.1%、メキシコは13.5%。オーストラリアは10.8%、チリは12.3%、アメリカは9.3%などとなっています。急に比率を高めることはできないとは思いますが、まずは平均値を目指して欲しいものです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中
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