漏れるリスクが付きまとうマイナンバー | NewsCafe

漏れるリスクが付きまとうマイナンバー

社会 ニュース
10月になって、マイナンバーの話題が多くなっています。厚生労働省の担当官が収賄の疑いで逮捕されたとのニュースも飛び交っています。私も雑誌にマイナンバー関連の記事をいくつか執筆しました。

もっとも心配されるのは情報漏洩です。年金機構が「標的型攻撃」(特定の団体や組織を狙うサイバー攻撃のひとつ)によって、情報漏洩したことがありましたが、ブラックハッカーの中では「マイナンバーの警告だ」と言っている人もいたりしました。

マイナンバーの通知カードがみなさんの手元に届く日も近くなってます。マイナンバーとは、個人と法人に割り当て当てられる12桁の番号のことで、社会保障と税、災害に関しての情報を取り扱うになります。メリットとしては住民が役所のなど窓口でたらい回しになることを避けることができます。デメリットとしては、情報漏洩のリスクが高まることです。セキュリティの複数の専門家に聞いても「絶対的に漏れてしまう」と明言しています。

専門家たちは、「漏れてしまう」リスクをゼロにはできないために、漏れてしまったあとにリスクを最小限にとどめる対策をしなければならないとも話しています。それは国や地方自治体であれ、企業であれ、同じことが言えます。

会社内でもっとも気にする部署は総務課や会計課、庶務課など、社員のマイナンバーを把握する部署だったり、取引先に個人のマイナンバーを使う個人事業主とのやりとりが発生する部署だったりします。個人とのお金のやりとり(例えば給料や報酬など)が発生する場合は、すべてマイナンバーで管理されることになります。正規社員か非正規社員かは関係なく、制度が始まれば、会社にマイナンバーを届けなければならないのです。
ちなみに、法人番号は公開されますので、そもそも情報漏洩の心配はありません。

ところで、個人情報保護法による個人情報の場合、半年で5000件の個人情報が蓄積されない場合、個人情報取り扱い事業者とはみなされません。そのため、個人事業主や小規模の事業所の場合は適用から除外される可能性がありました。一方、マイナンバーは一件でも漏れたら罰則の対象になります。大規模の事業所の場合は、これまでも個人情報対策としてのセキュリティがあったと思われますが、事業所の規模には関係がありません。その意味では、小規模事業所ほど、リスクが増える可能性があります。

また、個人で副業をしている人もいることでしょう。副業を認めていない会社が多いとは思いますが、これまでどんな対策をしていましたか?

副業をしていた場合、それはマイナンバー制度があるかどうかに関係なく、給与が発生した場合、事業主は従業員の住んでいる市町村に支払いの報告をしなければならないのです。それによって住民税が計算されます。そして、年末調整の時には、結果として、会社に通知がいく可能性があります。今でも副業が見つかるリスクはあるわけです。

給与支払明細にはマイナンバーが記載されることになっています。それは副業の仕事でも同じです。それでも会社や家族にばれたくないという人もいたりするでしょうね。給与をもらっている場合、特別徴収といって、住民税の年額を12分の1として給料から天引きされています。それを自分で支払う普通徴収にすると、会社にバレるリスクは減ります。ただ、所得税も住民税に連動しますので、税額をきちんとチェックしている会計担当の職員がいたりすれば、絶対にバレない、という保証はありません。

それにしても、騒がれた住民基本台帳ネットワーク(いわゆる住基ネット)って、いったい何だったのでしょうか。住基ネットは11桁の数字ですが、マイナンバーは12桁で、一桁違います。ただ、利用用途は限られていましたが、行政効率を進めるという意味では、マイナンバーと同じだったはず。

果たして、住基ネット以上に費用対効果があるのでしょうか。法施行後3年をめどに、民間利用が検討されます。情報漏洩のリスクを一定程度認めた上でないと、利用の拡大は危険で仕方がないような気がします。ただ、民間利用が拡大すればするほど、利便性とともに情報漏洩のリスクを忘れてはなりません。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中
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