国会前抗議行動に参加した人の声 | NewsCafe

国会前抗議行動に参加した人の声

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8月30日、「戦争法案廃案!安倍政権退陣!8.30国会10万人・全国100万人大行動」が行なわれました。主催は「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。主催者のアナウンスでは12万人が参加した。朝日新聞によると、警察関係者の情報で3万人3千人とも伝えられました。

そもそも主催者発表の12万人と警察調べの3万3千人とではかなりの差があります。産経新聞(8月31日付)では、空撮写真をもとに、ある時間帯の人数を試算しています。それによると、国会前には3万2400人とのことです。警察発表に近い数字です。神宮球場(収容人数は3万7933人)がほぼ満席になるくらいです。空撮写真がピーク時ではないとの話もありますので、5万人はいたかもしれません。

ただ、これは数え方の問題でしょう。デモ隊のように、ある地点を通り過ぎた時点の人数だとわかりやすいですが、集会形式の場合、開催時間にずっといる人もいれば、数分だけで帰る人もいます。また、再度やってくる人もいるでしょう。移動する人もいます。そのため、正確な人数を把握することは難しい。そのため、数えるとしたら、延べ人数ということになります。

また、今回の「大行動」は、国会前だけではありません。周辺の他の会場でも抗議行動が行われていました。一箇所だけに参加している人もいるでしょうし、私もそうでしたが、数カ所の会場に行っていた人もいることでしょう。35万人との話もありますが、これも延べ人数ということになります。

住民投票で否決された「大阪都構想」を大阪県知事・大阪市長のダブル選挙(11月22日投開票)で再び掲げると言及している、橋下徹・大阪市長は31日、自身のTwitterでこうつぶやきました。
<デモは否定しない。国民の政治活動として尊重されるのは当然。政治家も国民の政治的意思として十分耳を傾けなければならない。ただしデモで国家の意思が決定されるのは絶対にダメだ。しかも今回の国会前の安保反対のデモ。たったあれだけの人数で国家の意思が決まるなんて民主主義の否定だ>

デモを国民の政治活動として尊重するとしたものの、なぜ、わざわざ安保反対デモを取り上げ、批判的な言及をしたのでしょうか。「デモで国家の意思が決まるのは絶対ダメ」とわざわざ書いていますが、もちろん、デモだけで国家の意思が決まることはこれまでもありません。

しかし、デモは、そこに来ている人だけの意思表示ではありません。当日、なんらかの理由で来ることができない人たちの代弁でもあります。また、国会前に来ることができない人は、全国各地でデモを行っています。主催者によると、29日と30日で、抗議集会やデモが全国300カ所以上で開かれたといいます。安保法案関連では過去最大規模でした。

「たったあれだけ」といっても、世論調査では安保関連法案は、少なくとも今国会の成立には「反対」の声が多い。FNNと産経新聞の世論調査(8月15.16日)で安保関連法案について58%が「必要」としながらも、今国会の成立には56.4%が「反対」と回答しています。共同通信の世論調査(8月14、15日)でも安保関連法案の今国会成立に反対は62.4%となっています。

参加者の中に、与党・公明党の支持母体、創価学会の会員の男性が三色旗を持っていました。男性はこれまでずっと選挙では公明党に投票していました。創価学会は平和を重んじる宗教です。三色旗の「青」は「平和」を意味しています。この日で3回目の抗議行動の参加ということですが、安保法案反対をかかげて行動するのは、当初は勇気が要ったとのことです。

「いきなり声をあげると批判されるので、周囲に声をかけるところから始めた。中には自分は法案に反対だけど、家族は賛成という人もいます。全国的な波及という意味ではまだまだです。(未だに声をあげられない学会員は)もう一度原点に立ってほしい。今の法案自体は、私たちが信じるものに価するものなのかどうなのか」

子どもと一緒だった女性は国会前の集会には4回目の参加です。初参加の義理の両親も来ていました。

「(法案が成立する可能性がある)9月になってしまうので、もういかねば、という気持ちで来ました。中学生の長男は7月中から関心を持ち、大人たちが真剣に声を出していることにすごく感動していると思います。(集会に参加している)年配の方も若い方も人生を背負っているのに、どうして声が届かないんだろう。法案が通っても、何もしないわけにもいかない。アクションを起こすしかない」

集会の後半になって車椅子の10代女性が訪れました。

「秘密保護法とか、集団的自衛権を政府が容認したこととか、政府の動きはずっとおかしいと思ってきました。きょうは他の場所で50人集まっていた。なかなか希望がないように思ってしまうけど、今日こんなに集まった。みんなおかしいと思っている。法案に賛成していた友達と話すこともあったが、その子も"やっぱ、おかしいよね"ってことになりました。法律が成立しても闘い続けるしかない。戦争が始まっても闘い続けた人が過去にいるわけだから、その人たちの意志を無視してはいけない」

多数派である自民、公明の与党の賛成多数ですでに衆議院が通過。参議院も今月中旬には通過する見込みになっています。早ければ、9月11日に参院特別委員会で採択が行われようとしています。参院で採択がなされなくても、衆議院で3分2以上の賛成で成立します。

なんらかの法案について、ここまで抗議行動への参加者が多くなるのは、70年安保以後は、珍しい。小選挙区制導入のときもここまでは広がりませんでした。やはり、分かりにくい法律であることがそうさせているのだと思います。成立させるとしても、より多くの国民の納得がいく内容と説明が必要です。議席数だけでごり押ししないでほしい。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中
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