「ヤフー、ポータル首位の座から陥落」から考える | NewsCafe

「ヤフー、ポータル首位の座から陥落」から考える

社会 ニュース
日本経済新聞社の調査によりますと、ポータルサイト付き平均利用者数でヤフーが首位から陥落したことがわかりました。世界的にはグーグルが支配的で、日本はヤフーの利用者が多かったのですが、日本でもグーグルがトップとなったようです。

ヤフーユーザーが多く利用するのは、ショッピングやオークション(ヤフオク!)ではないかと思いますが、ヤフーニュースが主な利用だという人も少なくありません。ショッピングについては、私は価格ドットコムや楽天を利用することが多く、ヤフーは使ったことがほとんどありません。一方、ヤフオク!はよく使っています。最近ですと、カメラを通常の4分の1の価格で入札できました。オークションサイトは、モバオクもありますが、出品数ではヤフオク!が圧倒しています。

ヤフーニュースも以前はよく見ていましたが、見出しの「釣り」が多すぎることが気になります。つまり、ページビューを稼ぐために、見出しと本文の内容が違ったりするのです。もちろん、こうしたことはヤフーに限ったことではありませんが、確率的にヤフーが「釣り」が多いという印象を持ってしまったのです。そのため、できるだけヤフーのニュースから見出しをクリックしなくなりました。

私のこうした事情とは別に、最近、ヤフーは仕様を変えました。あるニュースサイトの運営者からの情報によると、これまでヤフーからリンクされていたニュースサイトのうち、クレームが多いサイトと判断されたところは、ヤフーから流入しないようになっているとの話があります。

クレームにもいろんな種類がありましが、政治的なメッセージの記事の場合、ある方向からの記事になったりしますが、批判された当事者からヤフーにクレームがいくことがあるようです。掲載されたニュースサイト自体にクレームがなくても、ヤフーにクレームを出すのです。そうした記事を掲載しなければ、記事は知られないということになります。直接、ニュースサイトにクレームするよりは、ヤフーにクレームを出すと、ヤフーが掲載を渋り、効果的だというのを経験的に覚えてきているのではないかとの見方が出てきています。

一方、キュレーションメディアがニュースのページビューが上がってきているのかというと、そういう話は聞こえてきません。印章としては、ネットでニュース記事を読む人の数が減ってきているのではないかと思うのです。

そもそも、若者たちがニュース記事にそれほどアクセスしていたわけではありません。SNSの普及によって、ニュース記事がシェアされた結果、ニュース記事へのページビューが増えたのではないでしょうか。

しかも、ニコニコ動画やUstreamなどのリアルタイムメディアがもてはやされたが、それも一時期で、その後、注目度が下がりました。ニュース記事も似たような傾向があるのではないかと思えるのです。

では、ユーザーはヤフーというポータルを捨てて、グーグルに向かっているのかというと、そうは単純ではないようです。グーグルがヤフーを抜いたのは、Gメール(フリーメール)やグーグルマップ(地図サービス)の利用者が増えたためだというのです。ポータルサイトとしての認知度が上がったわけではありません。しかも、若者層は、スマホに移行し、アプリケーションを使ってサービスを楽しんでいます。

そんな中で、検索サイトやポータルサイトの位置付けが低下するということは何を意味するのでしょうか。もともと、若者層は、情報検索よりもコミュニケーション志向の使い方をしていました。そして、大人になるに従って、ビジネス利用が増えるために、情報検索・共有としての利用が増えます。ビジネス利用のユーザー層がヤフーからグーグルに移行したのではないでしょうか。

しかし、アプリが増えれば増えるほど、未知の世界に飛び込むのではなく、既知の世界でコミュニケーションをする傾向にあるように思えます。アプリであれば、検索サイトで検出できないSNSも増えます。アプリ型のSNSであれば、検索されにくいでしょう。つまり、より内向きの利用になっているような気がします。LINE利用者の増加はそうしたことの反映ではないかと思えるのです。

インターネットがあれば、世界が広がる。そういう実態もある反面で、視界は狭くなっているとも言えるのではないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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