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安保法案はさらなる議論を

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報道各社の世論調査によりますと、安倍晋三内閣の支持率が下がっています。そんな中で、いわゆる安保法案の採決がなされようとしています。衆議院での法案通過がなされれば、参議院での審議になります。参議院で審議が十分にされず、否決となったとしても、衆議院に戻され、3分2の賛成が得られれば、法律として成立します。その日程を考えれば、もう時間がないところまで来ています。

NHKの世論調査では、安倍内閣を「支持しない」は43%。「支持する」は41%で、安倍内閣発足から考えますと、「支持しない」が初めて上回りました。日本テレビ系のNNNの世論調査でも、「支持」は39.7%、「不支持」が41%で、不支持のほうが高くなりました。

朝日新聞の世論調査でも支持率が39%で、4割を下回ったのは昨年11月ぶりで、第二次安倍内閣発足以来、最低に並びました。毎日新聞の世論調査では支持率が42%、不支持率が43%と、不支持が上回りました。比較的支持率が高くでる読売新聞の世論調査では49%で、6月調査の53%から4ポイント低下しました。

自民党の支持者に多いと思われている農業の専門誌「日本農業新聞」のモニター調査では、安倍政権発足以降、支持率は一旦は上昇しましたが、その後、一貫して下がり続けています。一時期は60%台でしたが、最新の調査では支持率は36%。不支持は61%と、農業者の中でも支持率が急落しています。

もちろん、安保法案だけでなく、日本年金機構の個人情報漏洩問題や労働者派遣法改正案なども支持率に影響をしていることでしょう。自民党議員による報道規制発言も不支持率に反映したのではないでしょうか。

ただ、こうした支持率低下は折り込み済みなのではないでしょうか。かつて小泉内閣も高い支持率があったために、党内基盤が弱くても、郵政改革を実行できたという面があります。安倍内閣でも発足当時は、小泉内閣ほどではないにしても、高い支持率に支えられていました。

安保法案が採決されようとしてる直前の調査で、各社調査とも支持率が下がっています。しかし、多くの調査でまだ40%台が支持しています。自民、公明の支持層が内閣を支持しているのでしょうが、公明の支持率だけは一貫して下がり続けています。時事通信の世論調査によると、他の政党の支持率は、時期によって左右されますが、公明は支持率が下がり続けています。「平和の党」と言われた公明党の支持者が離れているのだと思われます。

安保法案について多くの調査で「説明不足」といった声が大きいのですが、それを反映してか、各地で廃案を求めるデモなどが起きています。昨日(7月14日)の日比谷公会堂の集会と国会への請願デモには主催者発表で2万人以上が参加しました。最近の首都圏のデモでは最大規模でした。ただ、2万人台では、まだ安倍内閣にはインパクトを与えられていない印象です。

私は、昨年の集団的自衛権の一部容認した憲法解釈の変更と今回の安保法案には賛成できません。やはり、安倍内閣による憲法解釈の変更には無理があると感じるからです。その延長に安保法案がありますので、セットで反対の立場です。仮に今回の安保法案を認めるとすれば、憲法改正が必要となるのではないでしょうか。正面の議論なしの安保法制はあり得ません。

今後は議論の舞台は参議院に移ります。時間の引き伸ばしは、憲法の規定で、最大で60日となります。第59条第4項で、60日以内に議決しないときは、否決とみなすことができるからです。そして、参議院が否決すれば、衆議院の3分2の賛成が得られれば、衆議院の優越により。可決、成立します。

野党の中でも維新の動きが一つのポイントです。自民と維新の修正協議がまとまるかどうかですが、もしまとまれば、強行というイメージを避けることができます。同時に、野党の足並みを崩すことにもなります。ただ、こうした戦後日本が辿ってきたスタンスをこの一回の国会で覆してもよいものなのでしょうか。もちとん、覆す側からすれば、一挙にやりたいとは思いますが。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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