「大人」はいつから?18歳選挙権 | NewsCafe

「大人」はいつから?18歳選挙権

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選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が17日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。安保法制や労働派遣法改正、日本年金機構の個人情報流出問題など、与野党で対立が激化している国会ですが。この問題は与野党が一致できました。

選挙権年齢が引き下げられるのは1945年に「25歳上」でしたが、「20歳以上」に変更して以来の、70年ぶり。ちなみに、45年以前は、男子のみに選挙権があり、女性が選挙権を得たのも70年前ということになります。来年夏の参院選から適用されるなります。被選挙権は今のままです。

「18歳」というと日本では、現役で高校に入学したことを前提にすると高校3年生になります。といっても、同じ学年でも、17歳と18歳が混在しています。そのため、高校3年生の中に、有権者とそうではない人が混在することになります。18歳となると、青少年ネット規制法、出会い系サイト規制法、児童買春・児童ポルノ処罰法、都道府県条例などでの保護対象ではなくなります。

世界を見渡すと、18歳で選挙権があるのは当たり前になっています。政府が調査した191の国・地域のうち、176が18歳で選挙権を認めています。オーストラリアのように16歳から認めている国もあります。日本も批准している子どもの権利条約(アメリカとソマリアは批准していない)でも「子ども」の定義は「18歳未満」です。世界的には子どもと大人の境は「18歳」ということができます。

ただし、今回の公職選挙法の改正によって、18歳が大人扱いされるのは「投票」のみです。民法では、婚姻による「成年擬制」、つまり、20歳未満で結婚した場合は、成年に達したものとみなす、とありますが、基本的には、完全には民法上の権利を行使することができません。これは、民法制定時に、課税や兵役の基準となる年齢を決めたからといわれています。また、この「成年擬制」は、私法上の領域だけです。たとえば、酒やタバコの許可年齢は、成年擬制によって変更とはなりません。

日本では法律によって、「子ども」と「大人」の年齢が違っています。児童福祉法では「児童」は「18歳未満」で、18歳になれば、児童福祉の対象ではなくなります。一方、少年法では「少年」は20歳未満です。一般的には20歳を過ぎれば、成人と同じ刑事司法の手続きとなります。ただし、現行では「14歳以上」の場合は、検察官への逆送ができるようになりました。18歳となると、死刑も求刑できます。

分野によって日本では、「子ども」と「大人」の年齢的な境目がバラバラです。個人的には、これらの是非を議論をし、国民が納得の上で、公職選挙法も改正すべきだったと思います。しかし、どんな思惑や経緯があったにせよ、高校生のうちに投票ができるようになりました。

学校では、授業でどのように政治を学び、投票行動に促すのか、ということも求められるようになります。従来の暗記型の社会科(高校では、地歴科、公民科)ではない、生きた授業が求められます。そして、家庭内でも今まで以上に、リアリティを持った政治の話ができる可能性が出てきました。

来年の参議院選挙での投票のために、今のうちから、国会のニュースを見て、様々な情報を得て、頭の中でシミュレーションをし、楽しみにしている高校生や大学生もいるのでないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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