マイナンバー運用前に不正アクセス | NewsCafe

マイナンバー運用前に不正アクセス

社会 ニュース
日本年金機構は1日、個人情報125万件が流出したとみられると発表しました。原因は外部からのウイルスメールによる不正アクセスだととしています。これにより、マイナンバーと連結すれば、さらなる個人情報流出の危険性が高まるのではないかとする不安の声が出ています。これによって、参議院内閣委員会は、理事会を額て、マイナンバー制度の対象拡大をさせる「マイナンバー法改正案」の採決が先送りになりました。

日本年金機構によりますと、流出した個人情報は、基礎年金番号と氏名、生年月日の流出が約116万7000件、基礎年金番号と氏名、生年月日、住所の流出が約5万2000件、基礎年金番号と氏名の流出が3万1000件。不正アクセスを確認したのは5月8日と18日。19日に警視庁に捜査を依頼していました。

28日に情報が流出していたことがわかったといいます。個人情報が流出した原因は、ウイルスが添付されたメールを複数の職員が開封したため。積み立て金額や職歴などの情報が管理されている社会保険オンラインシステムへの不正アクセスは確認されていません。

これを受けて、「マイナンバー法改正案」を審議していた参議院内閣委員会は2日、理事会を開いて、採決を先送りました。週内の成立が見込まれていましたが、来週以降となる見込みです。

そもそも「マイナンバー」というのは、社会保障・税制度の透明性、効率性を高めるためというのが導入の理由です。こうした制度は、これまでも「国民背番号制」などの議論もありましたが、個人情報を国が一元管理することが不安視されてきました。

民主党政権時代に、社会保障と税の一体改革の実現のために再度、検討が進められてきました。政権交代後の第2次安倍内閣が「マイナンバー」制度を導入を決め、法律が成立しました。2016年1月から運用が開始されますが、その運用開始よりも前に「改正案」が議論されているのが現在です。現在は、社会保障番号と納税者番号を共通にするものですが、その対象を広げようとしているのです。

管理されている個人情報の共通番号を導入すると利便性が増すと言われていますが、同時に、リスクも高まります。そんなときに、ウイルスメールの開封という人的なミスで個人情報が流出しました。送りつけてきた主は、このタイミングを狙っていたのではないかと言わんばかりです。

もちろん、システムですから、個人情報の流出は、技術の向上ともに防ぐことができるでしょう。しかし、不正アクセスする技術も進歩します。いたちごっことなる可能性があります。また、運用するのは人間です。パソコンの操作技術は個人差があります。今回も、添付されたウイルスを開封したという、初歩的なミスです。

現在、導入前に「改正案」が審議されて、民間分野への拡大技を議論しています。 共通番号を導入するかどうかは、国家というシステムをどこまで信用するのかということもベースになりますが、ドイツやハンガリーでは憲法違反の判決が出ており、システムの運用はなされていません。日本では「マイナンバー」制度はまだ始まっていません。対象拡大をするとしても、もっと定着してから議論しても遅くはありません。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
《NewsCafeコラム》
page top