摘発された「JK作業所」 | NewsCafe

摘発された「JK作業所」

社会 ニュース
いわゆる「女子高生見学店」の経営者が逮捕されました。マジックミラー越しの女子高生を見学するというお店の形は、出会いを目的とした待合型の喫茶店への18歳未満の入店が禁止されてから、多くなった印象でした。しかし、警視庁は今年の一月から、18歳でも女子高生ビジネスの摘発を強化していました。今回は、マジックミラー越しの女子高生は、折り紙を折っているという"軽作業"でした。「見学店」の存在を知らない人には意味がわからないニュースなのではないでしょうか。

今回逮捕されたのは、東京都豊島区内で「みんなの作業女くりおね」の元経営者と、元従業員です。18未満の少女が折り紙をしているブースがあり、そのブースをマジックミラー越しに眺めるというスタイルをとっていました。マジックミラー越しの少女を見るために金銭が発生する理由が、少女の下着が見えることです。報道によれば、元経営者は事情聴取に「下着を見せるだけなら違法だが、軽作業を建前にすれば同法違反にならないと思った」と話しています。

18歳未満の少女を相手にした出会いビジネスは、かつては愛人クラブやデートクラブがありました。登録した少女たちと男性が遊ぶために金銭が発生しました。その後、自ら電話をしてきた相手同士が話しをするテレホンクラブや、自らアクセスしてきた相手同士がメールなどでやりとりをする出会い系サイトが出現しました。それぞれ、健全育成や性犯罪の温床となることが名目で規制されていきました。

2000年頃、セリクラが登場します。店舗を訪れた女性との「店外で過ごす時間」を楽しむ権利を、他の男性客と"競る"のです。ただ、このシステムでは女性側の選ぶ権利がありません。そのため、来店した者同士の合意によって店外で楽しむことができる出会い喫茶が出てきました。これらも規制されました。

そんな流れの中で「見学店」ができます。「見学店」であれば、コミュニケーションが発生せず、性犯罪に発展することはありません。マジックミラー越しに客の男性が見るだけです。そのため、「のぞき部屋」と呼ばれることもあります。業者としては、出会いや性犯罪に発展しなければ、問題がないだろうと判断していたわけです。

しかしながら、女子高生が客と話をしたり、マッサージをするJKリフレが摘発されるようになっていきます。直接ではないものの、股間付近のマッサージやキス、ハグ、添い寝などのオプションが行き過ぎと判断されるようになります。今回の「作業所」での摘発と同じように、労働基準法違反(危険有害業務への就業)容疑で逮捕されるようになります。これは下着を見せる「見学店」でも同様でした。

業者としても、様々な業態を考えます。JKとうたっている店でも、在籍する女子高生は、通信制高校に在籍する19歳の少女ばかりという店もあります。19歳であれば、法令違反になりません。また、カフェの形態であれば、出会いのきっかけも性犯罪も抑制できます。喫茶店の店員が女子高生というだけです。

これほどまでに「女子高生」がブランド化しているのはなぜでしょか。アイドルのイベントでもそうですが、出会えて、話ができるというビジネスには市場があります。それが「アイドル」ではなく、「女子高生」という名目なのです。共通点といえば、未熟さであり、育てがいだったりするのでしょう。キャバクラで新人のキャストを指名するのと同じなのかもしれませんが、キャバクラよりは市場も競争相手も少ないと思われます。その意味では「自分だけの~」といった感覚は強くなるのかもしれません。

なぜなくならないのでしょうか。お客としての需要もありますが、働く側としての需要があるのです。働く側の女子高生からすれば、時給がよいというのも一つの理由です。経済的な事情がわかりやすいものです。

一方で、他のバイトよりも自分を見てくれている感覚が強いのです。その感覚を求める女子高生の中には、寂しさがあったりします。管理する業者の側も、女子高生に"手厚い眼差し"を与えるために、頼れる大人として目の前にいるのです。もちろん、業者は働かせるためであり、稼ぐ手段としてそうするのです。しかし、その"手厚い眼差し"は、親や友人、学校、地域では得られないと感じている女子高生もいるのです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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