存在感を示せるか?民主党 | NewsCafe

存在感を示せるか?民主党

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先の衆議院選挙で、党代表が落選するなど、自民党と公明党に3分2の議席を許した民主党ですが、代表選の告示がされました。党員やサポーターが参加して行わる代表選は今回で4回目となります。任期は2017年9月末までとなります。

今回の代表選は、海江田万里代表が衆院選で選挙区で落選。比例区でも復活ができなかったことに伴う辞任によるものです。一度は政権を握ったものの、自民党・公明党に二度も3分2の議席を許すほど、民主党への信頼が回復していません。代表選を通じて、信頼回復ができるかどうかが争点です。そのためにも、いったい、民主党は何を代表する政党なのかを明確にしていく必要があります。

党内でもっとも安定感があるとされるのが岡田克也代表代行です。これまでにも党代表、党幹事長を歴任し、民主党政権時代には外務大臣や副総理を経験しています。ただ、岡田氏はこれまでも「党の顔」になっていたことから、一般の有権者からは馴染みがあると同時に、「古い顔」でもあります。これから心機一転、巻き返しのイメージとは違うように感じます。

それに反して「新しい顔」という意味では、細野豪志元幹事長の名前が挙がるでしょう。今回立候補している中ではもっとも若い43歳でもあります。環境大臣兼、原発事故担当大臣にもなった経験もあります。中堅や若手に期待され、過去との決別を掲げています。しかし、過去といっても、細野氏自身も過去の政権に関与しています。「新しい」といっても、一般の有権者からすれば、「新鮮さ」には欠けます。

長妻昭元厚生労働大臣も立候補しています。民主党は、元自民党員や松下政経塾などの「保守系」のグループのほか、旧社会党系を中心としたいわゆる「リベラル」のグループがあります。格差の問題に切り込もうとしているのですが、長妻氏も、過去の政権には関与しています。岡田氏、細野氏と同様に、「新鮮さ」がありません。

岡田氏や細野氏になれば、保守二大政党として、また、長妻氏になれば、保革二大政党として、自民党・公明党との政権交代を目指すことになります。もちろん、自民党・公明党以外に、政権交代可能な現実的な選択肢として民主党があります。しかし、東日本大震災という国難が起き、その舵取りには失敗してしまいました。

もちろん、新しい政党ですし、多少の失敗は仕方がありません。自民党・公明党だって、これほど非正規雇用が増加し、国の借金が増大した一時的な責任があります。現在の与党も成功続きではありません。そうした意味では、有権者側も、政権交代可能な現実的な選択肢を期待しつつ、また、そうした政党の登場に対する寛容さも求められてきます。

本来、民主党の出直しは、先の衆院選でアピールしなければいけませんでしたが、そのチャンスを与えず、「アベノミクスの是非」に焦点化させた自民党・公明党の戦略勝ちではあります。

政権交代可能な二大政党を目指した民主党ですが、党の綱領がないなど、その軸は今でもはっきりしません。アメリカのような保守二大政党を目指すのか、イギリス型の保革二大政党を目指すのか。つまり、そうした路線の違いを内包したままでいるのか、それとも、軸足をはっきり定めて進むのだろうか。どちらの方向に進むとしても、自民党と何が違うのかがわかなければ、選択肢の一つになりえません。

[ライター渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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