福島県知事選挙 | NewsCafe

福島県知事選挙

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原発再稼働や被災地の復興...。こうした争点がありそうだと思っていた福島県知事選挙(10月9日告示、26日投票)だが、
自民党福島県連が有力候補としていた日銀福島支店長の針村健氏(55)について党本部が難色を示しました。
出馬を断念した結果、与野党相乗り候補が誕生しました。安倍内閣にとっては沖縄県知事選挙と同じくらい重要な選挙です。
7月の滋賀県知事選挙で自民、公明の候補が破れたために、負けられません。「争点隠し」と批判されたとしても、相乗りという手段を選んだということなのでしょうか。

これまでに立候補を表明しているのは、五十音順に、五十嵐義隆氏(いからし・よしたか、36歳、自営業・牧師)、井戸川克隆氏(いどがわ・かつたか、68歳、前福島県双葉町長)、
内堀雅雄氏(うちぼり・まさお、50歳、福島県副知事)、熊坂義裕(くまさか・よしひろ、62歳、医師・元岩手県宮古市長)の4人。

現職の佐藤雄平県知事は出馬をしないことを決めました。佐藤氏は参議院福島選挙区で初当選。民主党の参議院議員でした。
前知事の汚職事件をきっかっけにした知事選に立候補。知事に当選し、現在2期目。去就が注目されていましたが、
除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の受け入れを決めた後、不出馬を表明しました。

佐藤知事の後継とされる前副知事の内堀氏は長野市出身。旧自治省に入省したあと、大蔵省に出向。主計局の法規課課長補佐もつとめた。
さらに福島県生活環境部次長、企画調整部長を歴任。佐藤県政の8年間を支えてきました。
東京電力・福島第二原発も含めて県内の原発は全基廃炉の方針で、民主、社民、連合福島が支援していましたが、自民と公明が相乗りをしたのです。
福島第一原発のある双葉郡8町村の町村会も立候補の要請をしていました。

自民福島県連は、鉢村氏を擁立しようとしていましたが、党本部との調整が付かず、出馬を断念することになりました。
そのため、独自候補を立てず、内堀氏への相乗りを決めたのです。公明党も16日、内堀氏を支援することが決定しました。

一方、新党改革の荒井広幸代表は、そうした与野党相乗りムードの中で、姻戚関係の熊坂氏の支援を表明しています。熊坂氏は県立福島高校出身。
同窓会が動いているとの話もあります。勤務医10年、開業医10年、市長を3期務めました。また、11年からは「よりそいホットライン」を運営する一般社団法人の代表理事をつとめています。

井戸川氏は第一原発のある双葉町出身。元双葉町長。中間貯蔵施設の建設を巡って、福島県と双葉郡8町村の会議に欠席。町議会と対立した結果、
町議会は不信任決議を可決。町議会を解散させましたが、自らも辞職しました。13年7月の参議院選挙にみどりの党比例区から立候補。落選しました。
ビックコミックスピリッツの「美味しんぼ」では取材を受け、登場している。鼻血が出るとの描写が話題となった。

五十嵐氏は新潟県三条市出身。妻が福島県いわき市出身。震災後は災害救援活動をしていました。13年9月、いわき市長選に出馬。
落選しています。また、震災後、次女が突然死をしています。震災関連死が増えてほしくないとの思いも強いようで、理念・政策の最初に「命をつなぐ福島」を掲げています。

共産党はまだ態度を明らかにしていません。ただ、政党の支援だけを見れば、内堀氏の圧勝です。
しかし、2000年の長野県知事選挙でも、現職だった知事の後継者とされた副知事(当時)を破ったのが田中康夫氏(現在、新党日本代表)でした。
その意味では、流れを作れれば、政党の支援だけでは決まらないとは言えます。

滋賀県知事選に続き、福島県知事選も、安倍政権への是非も投票行動に影響するとみられていましたが、与野党相乗りによって、
投票率は低下するのではないかと思われます。そうした場合は、組織があるほうが優勢となることが確実ですので、内堀氏が当選可能性が高まります。
一方、そうしたムードを批判的にとらえ、うまく批判票を取り込めるかが鍵になります。福島県の有権者は、広域避難で全国各地にいます。
そうした避難者へ浸透できるかも一つとのポイントとなるでしょう。

ちなみに、福島民報社などの6月調査では、佐藤知事の支持率は38.2%、中間貯蔵施設が建設された際に運搬に「不安がある」は「やや」をあわせて75.3%。
数字を見る限りでは、佐藤知事の後継でもあり相乗り候補の内堀氏が勝つとは断言できません。また、13年12月の世論調査で、
安倍内閣の支持率が不支持率を下回ったのは北海道と沖縄、そして福島県でした。その安倍内閣から中間貯蔵施設を受け入れた佐藤知事が好評価というわけでもなさそうです。

告示まであと3週間です。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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