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相対的貧困率が過去最悪を更新

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厚生労働省は15日、2013年の「国民生活基礎調査」を公表しました。普通の暮らしが難しい人の割合を示す「相対的貧困率」は12年の段階で16.1%となりました。
記録が残る1985年以降、過去最悪だった前回調査(3年に一度の調査のため、前回は09年)より0.1ポイント悪化し、過去最悪を更新しました。

また、17歳以下の子どもの貧困率は0.6ポイント上回り、16.3%に達しました。
相対的貧困率というのは、一世帯の可処分所得を世帯構成員の平方根で割って調整した所得(等価可処分所得)の中央値の半分に満たない世帯員のこと。
絶対的貧困率よりも、国家によって「貧困」レベルが違ってきます。
12年の一世帯当たりの平均所得は、前年に比べて2%減少し、537万2000円。85年以降、過去4番目に低い。
その所得を前提とすると、相対的貧困率の指標は、244万(税や社会保険料をのぞく)の半分122万円に届かない人の割合は、85年から4.1ポイント上昇しました。
低所得の高齢者の増加が一因とみられています。子どもの貧困率よりも悪化しているのです。6人に1人が「貧しい」ということになります。
親の年収が子どもの学力差に関係していると言われていますが、このまま悪化し続けると、子どもの学力差は今後も続くことになります。
もちろん、地頭がよく、親もある程度教育への関心があったりすると、貧困であっても、高学歴志向になったりします。
その意味では貧困だけが学力差を生むものではありません。しかし、大きな要因となっています。
その意味で奨学金は大切です。奨学金があれば、親自身が貧困であっても、経済的なカバーはできます。
ただ、最近は、利子付き奨学金が増加したり、職業が不安定な場合もあることから、卒業後も返済が苦しんでいる場合もあります。
そんな中、経済的理由により、延長できる年限が5年から10年に延びたことは評価されるできごとでした。とはいえ、返済に苦しむことには代わりはありません。

また、生活保護費の受給額が徐々に減額されてきています。もちろん、最低賃金の手取りが5都道府県(北海道は時給換算で11円と最も開いている。
広島は4円。東京と宮城、兵庫は1円)で逆転している現実もあります。
働いているのに、何らかの理由で働けない場合に受給出来る生活保護費のほうが高いとなれば、不満を持つ人がいます。
しかし、最低賃金が低すぎるのです。社会保険料の負担が増加し、手取りが減ったことが背景にあります。
もちろん、生活保護の不正受給が問題となっていますので、世間が生活保護世帯に対して厳しい目で見られています。
しかし、失業したり、病気などで働けないこともあり得ます。そうした場合のセーフティネットが必要です。
憲法第25条が保障する「最低生活」とは何でしょうか。議論する必要があります。

一般の人は「生活保護受給者とは関係のないこと」としがちですが、生活保護は生活する上での最終防衛ラインです。
不安定な時代にあってはいつ当事者になるのかわかりません。相対的貧困は、絶対的貧困と比べて目に見えにくいのです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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