【解説】脆弱な「保育の受け皿」 | NewsCafe

【解説】脆弱な「保育の受け皿」

社会 ニュース
いよいよ4月である。近所の幼稚園でも「入園式」が行われているのである。ここ数年「保育が十分にできない状況にあり保育所に子供を預けたい」と保育所入所申請をしたが「希望する保育所が満員・仮に空きがあっても遠方すぎる…などで保育所に入所できない状態にある児童「待機児童」が大きな社会問題になっている。政令都市の横浜市長が「民間活力を導入して待機児童をゼロにした」と自慢した問題である。

識者は『希望する保育所が空くまでの待機などが統計上除外されており「正確な待機児童数の把握」は困難だが「全国で5万人~8万人」と見られる。その半数超は、大都市部(埼玉・千葉・東京・神奈川・京都・大阪・兵庫)に集中している。一方で、地方では待機児童は少なく、富山・石川・福井・山梨・長野・愛媛各県など待機児童がゼロの県もある。政府は「女性の社会進出を支援する」と言う建前で「保育所の増設を加速する」との事であるが、ここでいう保育所とは「昼間の定型型保育所」のことである。「共働き・ひとり親家庭が増え・社会の夜型化が進む中で夜間・緊急時に対応する保育所のしくみ」は非常に不完全である』と言う。

そんな「多様なニーズに対応できない保育の受け皿の脆弱さ」を補っているのが「ネットの紹介を通じてのベビーシッター紹介やベビーホテル」である。過日の「ネット紹介サイトを通じたベビーシッターに預けられた男の子が死亡・死体遺棄された事件」は誠に痛ましいが「ネットを通じてベビーシッターを仲介する仕組みの危うさ」を浮き彫りにしたのである。

公的な夜10時までの「認可夜間保育所」は全国にわずか80ヶ所あまり。利用者の25%がひとり親家庭。調査では過半の人が制度の存在を知らなかった。0歳児を預からないところも多い。「24時間対応してくれる民間の認可保育園」に至っては全国にわずか5ヶ所である。大手のベビーシッター会社は1時間の料金が2000円~3000円と高額。ネットでのベビーシッターは時給が800円~1000円である。事件で利用された紹介サイトは「利用者が10000人・シッター登録者が6000人」と言われる。いかにニーズがあるかと言う事であり「今や深夜勤務をする保護者にとって不可欠なもの」になっていると思われる。問題なのは「5人以下の預かりの場合は業としての登録が不要なこと・ベビーシッターに特別の資格が必要ないこと」である。中にはボランティアとして・社会貢献として…の人も多いが「問題人物」を排除する仕組みにはなっていないのである。

専門家は『頼むに際しては「メールでのやり取りを繰り返す・子供を同席させて面談・写真付きの公的な身分証明書(運転免許証や保険証)の提示や履歴書の提示を求める」と言う慎重さが必要。子供を守る最後の砦が親・親には預ける相手を見極める責任がある』とアドバイスをするのである。親しい知り合いには「子供を抱えた離婚の母親・父親」がいる。中には「シングルファーザーの経験交流サイト」を立ち上げて感謝されているネット関連の男性もいる。今更ながらだが「苦労がしのばれる」のである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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