都知事選。ネット選挙で見えるもの | NewsCafe

都知事選。ネット選挙で見えるもの

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9日は東京都知事選挙です。どのくらいの人が関心があるのかはわかりませんが、少なくとも、世論調査での順位が明らかで、結果も想像がついてしまっている人もいることでしょう。もちろん、投票先を決めていない人の動向次第では、結果が変わることがあります。選挙はふたを開けてみなければわかりません。夕刊紙はさかんに逆転シナリオを書いていたりするわけですが、週刊誌は都知事の記事は「売れない」とされ、「小泉」という言葉はあっても、「都知事選」という見出しはほとんどありません。

都知事選には16人が立候補しています。各候補の主張を公平に聞けるのは政見放送です。今回はNHKとテレビ東京での放映です。各候補ともに、主要な政策をアピールしています。また、どれだけ話題になるのかと、毎回、様々な仕掛けをしている候補もいます。時間内に話し終われなかった候補もいたります。このコラムを読む段階では、もう投票先を決めている人もいるのではないでしょうか。しかし、公平に候補者を見ようとするならば、一度は見ておきたいものです。

今回の最大の争点は何でしょうか。メディアでの世論調査で示すものと、インターネットで見えるものとは違っています。世論調査は電話での調査が多いために受け身的な答えが多くなります。そのため、何人が何を答えたのか?という数値が出ます。一方、インターネットでは発信力や伝播力がある人がいますので、積極的に発信ができます。そのため、どの言葉が何回使用されたのか?といった視点で分析されます。

2013年7月の参議院選以来、ネットでの選挙活動ができるようになりました。それまでは候補者のブログやTwitterは公示がされると更新がストップしていましたが、遊説の日程や細かな政策をアピールすることができるようになりました。私は、昨年の参院選のときと同様に、候補者のTwitterをフォローするといった、積極的な活用はしていません。積極的に情報を入手しない有権者の立場であれば、選挙がどのように見えるのかを知りたいと思ったからです。

そのため、私のTwitterのタイムラインでは選挙関連のつぶやきは少ない方かもしれません。それでも、今週になって関連するつぶやきが増えてきました。昨年の参院選と共通のものがあるのは、選挙戦終盤になって、特定候補者への批判が多くなるというものです。しかも、参院選では上位で当選する人への批判はあまり流れてきませんでした。今回の、優勢の候補者への批判は多くないのです。むしろ、それに続く候補者の支持者同士が批判し合っているのを見かけます。

批判をする自由はあります。落選運動というのもありますから。しかし、そうした批判が、見ようによっては「足の引っ張り合い」にも感じてしまうわけです。「選挙が終わったらノーサイド」という立場もありますが、ノーサイドになるように思えないくらいの批判合戦とも言うべき状況になっているように私には見えるのです。

せっかくの「ネット選挙」です。しかし、その形は有権者が望んだものなのでしょうか。このまま批判合戦が続くと、これまでの選挙でも「怪文書」というものがありましたが、怪文書が目に見える形になっただけではないかと思ってしまいます。もちろん、投票先を決めていない有権者にとって有益な情報もあります。遊説日程がわかるのはこれまでにない利点ですが、候補者によってはネットを使って双方向のコミュニケーションをしています。ユーザー(有権者とは限りませんが)からの質問に候補者が答えている姿も見かけます。

もちろん、ネットでの姿だけが判断材料になるわけではありません。都知事は政治家であり、行政のトップですから、政治哲学や行政手腕も問われます。しかし、ネットで見える姿は、特に投票先を決めかねている有権者には、大きな判断材料になります。きちんと有権者に向き合い、丁寧に政策を説明するのは大前提です。と同時に、候補者の支持者・支援者のネットでの振る舞いも判断材料になると思います。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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