国会では政治のゴタゴタが続いています。特定秘密法案の可決成立後、みんなの党は分裂し、江田憲司議員をはじめ、13人の議員が衆議院議長に会派離脱届を提出しました。江田議員は「みんなの党が自民党にすり寄った」ことを理由にしており、その主張に同調した議員が行動をともにしたのです。
みんなの党は2009年8月、自民党を離脱した渡辺喜美代表や無所属だった江田議員が中心となって結成されました。脱官僚、地域主権、生活重視、活力重視、小さな政府などを理念に掲げています。自民党と決別したことにはなりますが、自民党と重なる部分もあります。度重なる選挙の結果、衆参合わせて36議席を確保し、野党の中でも徐々に存在感を増してきました。
しかし、特定秘密保護法の審議を巡って、自民・公明の与党や日本維新の会と一緒になり、修正協議をしました。その結果、みんなの党は賛成する方針となりましたが、一部の議員が反発しました。江田議員は採決を前に退席しました。その結果、渡辺代表と江田議員の対立は決定的となり、集団で離党することになったのです。
渡辺議員は江田議員以外の離党を認めていません。江田議員は小選挙区で当選しましたが、他の議員は比例代表での当選です。つまり、小選挙区は個人名を書くために、個人の力によるところが多く、比例代表は政党を選択する選挙のためです。つまり、比例代表で選ばれた議員は、離党するのなら議員辞職をすべき、というのが主張です。
たしかに最もな話です。政党を選ぶのが比例代表であるのならば、有権者の意志は政党に議席を与えたことになります。しかし、それは小選挙区であっても、個人の力だけで当選するわけでもなく、有権者の立場からすれば、どの党に所属しているかは大きな投票理由です。その意味では、小選挙区であれ、比例代表であれ、当選後に会派を離脱することは、有権者の意志に反します。
ただ、同時に、小選挙区では候補者の政治的なセンスも投票理由になるでしょう。その意味では、小選挙区選出議員は、そのセンスをまかされていることになります。また、比例代表ではどうでしょうか。比例代表でも、個人名を書くことがあります。その人が所属しているからと党名を書く人もいます。であるならば、比例代表であても、100%政党を選んでいるわけではないのです。この理屈を貫けば、議員辞職をする必要はありません。
原則的には、次の選挙が目前に迫るまでは、会派離脱をすべきではないと私は思います。しかし、政治が大きく動く状況の中で、会派離脱がその後の政局を左右させると判断できる場合には、会派離脱の自由があってもいいと思うのです。そして、今は政局が大きく動く時です。その意味では離脱を支持します。とはいえ、そのためには大義が必要です。今の動きは何のための離脱なのかが不鮮明です。大きな政治理念が出来上がっているようにも思えません。
離脱組に問いたいのは、その動きを党内ではできなかったのか?という点です。秘密保護法の成立をめぐるプロセスに異議があるのであれば、まず、党内で質すべきです。そして党の体質を変える努力をすべきでしょう。その努力が見えて初めて、有権者に説明がつくというものです。なぜ党内での話し合いを諦めたのでしょうか。まずはそこを説明すべきではないでしょうか。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
《NewsCafeコラム》
page top