台風26号の影響で伊豆大島(東京都大島町)土石流の被害に見舞われました。22日現在、死者31人、行方不明者が16人の犠牲者を出しました。台風27号と28号が再び近づいています。今後の気象情報に注意したいところですが、常にテレビやラジオの前にいられません。そこでスマートフォンのアプリや自治体の災害情報メールを活用するのはいかがでしょうか。
20日の日曜日、私のスマートフォンに自宅付近の一時間あたり20mm以上の強い雨が降る予測との通知が来ました。私は雨に関するアプリをいくつか利用しています。この通知は「LINE天気」によるものでした。この記事を書いている22日の夕方にもアクセスしてみると、日本気象協会が発表している、台風情報が掲載されています。
各自治体が災害情報メールを作っているとことがあります。東日本大震災以降、被災地のいくつかの自治体が送信している「災害情報メール」を登録しています。自治体の中には、災害だけではなく、事故や火災についても情報を流しているものもあります。
今年7月、気象庁は10年7月以来3年ぶりに、「記録的短時間大雨情報」を出しました。もちろん、このとき、Twitterの情報でもある程度把握することができたと思います。しかし、Twitterの場合、自分が欲しい地域の情報とは限りませんし、スマートフォンのアプリであれば、情報にアクセスしなくても、通知される設定をしておけば、教えてくれます。
もちろん、誤報もあります。今年8月、携帯電話に「奈良で震度7」という地震速報が飛び込んできました。また9月に岩手県釜石市にいたとき、「屋内に避難してください」という国民保護情報の緊急エリアメールが流れました。これらは誤報だったわけですが、他の情報伝達手段があれば、誤報とすぐにわかりました。
まずは、自身が住んでいる場所や、職場や学校、通勤・通学のルート上にある各自治体のハザードマップをチェックしてみましょう。そして、各自治体が災害情報メールを整備しているのであれば、登録してみるとよいと思います。報道されないようなローカルな場所の情報も知ることができるでしょう。これらは引っ越しを検討している人にも有益な情報となります。
伊豆大島の災害では、町が避難勧告を出しませんでした。また、東日本大震災では、大津波警報が発令されたときには停電となっており、情報がきちんと行き渡りませんでした。また、過去の災害の経験から、「ここまでは津波は来ない」と思い込んでいたということもありました。個人が情報を積極的に入手できる時代です。ただ、これらは電波やネット回線が通じていることが前提のため、行政防災無線等にも注意しましょう。
学校管理下の子どもたちは全員が助かったという、いわゆる「釜石の奇跡」のベースには、津波防災教育がありました。その中には、「想定を信じるな」という項目があります。過去の災害情報に囚われないことが重要なのです。過去の気象条件とは違った状況も増えてきています。その意味では、経験則によらない判断が問われることがあります。
もちろん、ハザードマップを作り、防災マニュアルを作っても、日頃から自治体や企業等の職員たちがチェックしていなければ、いざ災害が起きた時に十分に動くことができません。そのためには訓練と同時に、マップやマニュアルの精査が必要になります。岩手県釜石市の幼稚園では、職員が3人死亡、1人が行方不明となりました。訓練が十分になされず、市教委が訓練内容をチェックしていませんでした。一方、同じ地域の保育園では、日頃から避難ルートをチェックし、避難までの時間を把握していました。そのため園児も職員も無事に避難できました。
防災は行政の基本的な仕事です。様々な情報に基づいて避難勧告や避難命令を出さなければなりません。その意味では、防災の責任は行政にあります。しかし、個別の災害に備えるためにはまずは情報を得るが必要になります。しかし、情報を得たとしても、避難所やそこまでのルートを把握せず、実際にどのように動けばよいかを知らなければ、命を守ることができません。ハザードマップや防災マニュアルをもう一度チェックし、実際にどう動くかを考えておきましょう。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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