東京都三鷹市の女子高生(18)が元交際相手の男(21)に殺害された事件は記憶に新しいです。二人はFacebookで出会ったのをきっかけに交際を始めたと言われています。こうしたネットをきっかけにした出会いで恋愛感情を抱いたり、結婚したりといったことは今では珍しくはありません。私自身も、拙著「ウェブ恋愛」で、こうした現状を執筆したことがあります。
ただ、この事件では、逮捕された男が、動画サイトに女子高生に関するわいせつな動画や画像を投稿し、さらに、「まちBBS」などにURLを投稿したことで拡散しました。嫌がらせ目的で、元配偶者や元恋人のわいせつが画像など拡散することはアメリカでは社会問題になりました。こうした画像や動画は「リベンジポルノ」と呼ばれています。
私自身、この事件を知ったときに、それほど検索をしたわけではないのですが、すぐに「リベンジポルノ」を投稿したURLを見つけ出すことができ、アクセスができました。二度目にアクセスしたときには動画と画像は削除されていました。削除依頼が出たことによると思われます。
このコラムを執筆している段階では、「有料のサイトでアップされている」との噂はありますが、誰もがアクセス可能な状態で動画が再投稿された様子はありません。一度、拡散したものがいつ、誰がネット上にアップするかはわかりません。しかしながら、画像はすでに拡散し続け、ソーシャル・ネットワークやまとめサイトを通じて広がりを見せています。
これまで素人のわいせつ画像は自らが投稿したり、相手の承諾を取ってネット上にアップされているものがほとんどでした。ビデオチャット上でわいせつなシーンを流すといったこともありましたが、これらは自らが承諾していることが前提でした。一方、ウィルス感染によって、意図せずにわいせつな画像が流れてしまったこともありましたが、不可抗力であり、嫌がらせ目的ではありません。
しかし、今回の事件では明らかに「復讐」目的でした。事件後に「まちBBS」には、URLとともに、
被害者。
無差別ではないです。
恨みがありました。
と投稿されています。男のものと思われます。
かつて関係がよかった恋人同士が、性的な行為をしている最中に撮影したものだったり、その延長で二人が会えないときに、わいせつなシーンの自画撮り画像をメール等で送り合ったりすることは、最近ではよくあることです。これだけカメラ付きの携帯電話が普及していれば、「止めろ」と言って止まるものではありません。
アメリカ・カリフォルニア州では10月、リベンジポルノが非合法化されました。リベンジポルノ専用のサイトがあり、削除は有料でしかできないというものでした。こうしたことを防ぐためには、性的な画像・動画のやりとりそのものをしないことが一番です。しかし、恋人関係の中で、そうした行為を完全に防ぐことは難しい。
それに、実際の行為だけではなく、コラージュで作成もできます。コラージュのものはアイドルの画像を使っているものは多くあります。素人のものでも嫌がらせや遊び目的で作成されているものもあります。そうなれば、完全に防ぐことができません。一度、ネット上にアップされたものは、有名なものではなくても誰が保存することになります。であるならば、カリフォルニア州のように、第三者が所持することを含めて、リベンジポルノを非合法化するしかありません。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
《NewsCafeコラム》
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