大川小の児童が文科省に改善要求 | NewsCafe

大川小の児童が文科省に改善要求

社会 ニュース
東日本大震災で、児童と教職員が84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市の大川小学校の遺族有志が9月30日、避難行動などを調査する第三者委員会「大川小学校事故検証委員会」(室崎益輝委員長)が、なぜ子どもが命を落とさなければならなかったのか、の核心にせまらないことなどを改善を求める意見書を文部科学省へ出しましました。

意見書によると、1)なぜ子どもが命を落とさなければならなかったのかという核心が検証されていない、2)現段階で最も検証すべき当日の避難行動が議論されてういない、3)核心とまったく関係ないことばかり検証している、3)津波到着時刻等、表面的で間違った調査・考察に基づいて、中間とりまとまを作成している、4)震災直後の鮮明な記憶を元にした証言等が検証に生かされていない、5)震災を経験した子どもの聞き取りにあたって、心理状態に配慮し、話しやすい環境を整える努力をしていない、としています。

さらには6)他の学校も備えが不十分だった、地域の危機意識が低なった等、仕方がなかった要素ばかりを無理にあげている、7)学校だけでなく、地域の多く人が亡くなったことを強調しているが、問題のすり替えである、8)心理学者が津波の挙動を担当するなど専門外のことを担当している、9)遺族からの質問・疑問に対して正面から答えられない。、10)このような状況で、新たな有識者にヒアリングをしようとしているーとあります。

28日の予定されていた「第5回目」の会合を10月20日に延期すると発表した。事務局を務める「社会安全研究所」によると、理由は「諸般の事情」としている。なかには委員会に不信感を強めている遺族もいる。これについても「延期する以上、遺族らに真摯に延期事情を説明し、遺族らの納得を得る努力に傾注すべき」と指摘しています。

この「意見書」は義家弘介政務官に手渡された。

「検証委員会」ではこれまでに四回の会合を開いた。7月には「中間とりまとめ」を発表している。延べ人数で74人の聴き取りを行なったというが、当日の避難行動の詳細などの事実関係はこの段階では明らかにしなかった。会合でもなかなか核心部分、つまり当時の校長や生存教員、生存した子どもたちの証言が出てこない。

最大の焦点は、当時の学校長や生存教員の証言だ。学校長は震災当日、学校を休んでいたために、避難行動はわからない。しかし津波想定の避難訓練をなぜしなかったのかが問われることになるだろう。また、生存教員の証言は、周辺の証言との食い違いへの疑問がある。これらは「中間とりまとめ」の段階では公表しなかった。記者会見ではヒアリングできたかどうかも答えなかったが、「証言を得る努力はする」に留まっている。

検証委は原則公開となっているため、傍聴ができる。ただし、録画は遺族のみで、テレビ等のカメラは指定された時間のみだ。さらに遺族が録画したものを動画サイトへアップすることを事実上、禁止している。議論の途中で名前が出たり、知り得た事実もその後変わりうる等がその理由だ。しかし、会議に臨む態度などに真摯な姿勢が感じられないとの指摘もされている。

その段階で公表できないものもあるだろう。原則公開とあるが、委員たちはメーリングリストで意見や情報を交換している。そこでは実質的な、または詳細な議論が行なわれている可能性もある。ただ、メーリングリストは非公開で、実際にどんなやりとりがあったのかは公表されない。これでは原則公開が事実上、破綻しているのではないか。私も検証委の傍聴をしているが、「なかなか核心にせまらない」という遺族のいらだちには共感するとことがある。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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