広島原爆投下の日に考える平和主義 | NewsCafe

広島原爆投下の日に考える平和主義

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「私の最大のメッセージは、真実を学んでほしいということ。若者に関心を高めてほしい。被爆者が亡くなっていくなか、彼らが生きているうちには核の廃絶はできないかもしれない」

映画監督のオリバー・ストーン氏(66)は、広島を訪れました。その際、朝日新聞のインタビューに以上のように答えています。オリバー・ストーン氏は1967年にベトナム戦争を経験した、ベトナム帰還兵。「プラトーン」「7月4日に生まれて」「JFK」など、なぜ、アメリカがベトナム戦争にしなければならなかったのか、という問いを続けています。

なかでも「JFK」は私も最も好きな映画の一つです。第35代大統領、ジョン・F・ケネディの暗殺事件を元に描いているものです。この映像は、初めての日米間のテレビ衛生通信放送だったことで、テレビ史にも大きく刻まれることになったのです。この暗殺事件は様々な黒幕が言われていたが、逮捕されたのは、オズワルドで単独犯行説が主流となりました。

しかし、そのオズワルドも殺害され、すべては闇の中になってしまいました。オリバー・ストーンは、この暗殺事件とベトナム戦争との間につながるがあるという大胆な仮説を作り、映画化したのです。そんなオリバー・ストーンは、アメリカ現代史を見直すドキュメンタリー『The Untold History of The United States』を作り上げました。

アメリカ政府の代表として今年もルース大使が平和祈念式典に参列しました。今年で三回目です。しかし2010年までアメリカ政府は式典に参列はしませんでした。アメリカにとっては「加害者性」が全面に出てしまいかねないタイミングです。そのため、これまで参列はしませんでしたが、オバマ大統領になって態度を変えました。09年4月に、核を使用した唯一の国として「道義的責任」を言及しています。ただ、大統領自身は参列せず、また、10年には臨界前核実験も行なっており、オバマ大統領でさえ姿勢が揺らいでいます。アメリカの舵取りの難しさがあるのでしょう。

戦争で唯一核兵器が落とされた被爆国の日本ですが、東日本大震災では東京電力・福島第一原発の事故を経験しました。もちろん、戦時における核兵器の使用と、平和時での原発事故を同一線上で語るのは難しいものがあります。核兵器の使用は、戦争が起きたとしても、それを使うかどうかの選択です。原水爆ではなくとも、貧者の兵器ともいわれる「化学兵器」の使用も止めなくてはなりません。その意味では、犠牲者をなくすためには、究極的には戦争がなくならないといけません。

こんな時代に、先の参議院選挙では憲法改正が争点の一つとなりました。まずは96条の改正手続き条項をより簡素にしようとするものです。その先には、安倍政権は、自民党の憲法草案があり、特に9条の「平和主義」を変えようとするものです。

日本の平和主義は、「一国平和主義」と言われています。他国が侵略されたとしても、たとえ同盟関係にある国であっても戦えないことによる皮肉です。これを日本国憲法の理念にもある「国際協調」を重視して、国連憲章も定める「集団的自衛権」を認め、同盟関係にあれば、他国を助けるために戦えるものにするかどうかが問われています。

なみに、8月9日は長崎市に原爆が投下された日です。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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