初めての「ネット選挙」消極的に参加してみた。 | NewsCafe

初めての「ネット選挙」消極的に参加してみた。

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初めての「ネット選挙」となった参議院選挙が終わりました。結果は、各メディアの事前の世論調査通りに、自民党の圧勝で、公明党との議席を合わせて与党は過半数を超えました。これにより、自民党が言っていた「衆議院とのねじれの解消」が実現することになりました。

私はこの「ネット選挙」に消極的なスタンスを取りました。周囲のメディア関係者がこぞって「ネット選挙」に乗っかりながら取材をしていました。私はこの流れにあえてさからってみることにしました。各党がネット選挙でLINEやTwitter、Facebook、公式サイトなどを充実させていました。私は各党のLINEの友達登録をせず、Twitterもフォローせず、Facebook、公式サイトを見ませんでした。

消極的な姿勢で望むと、私のネット上の付き合いと政治との関係が見えてきます。私のTwitterのタイムラインには、ほとんど政党の情報が入ってきません。政策的な話は「原発」が多かったとは思います。これは、どのメディアのTwitter分析でも、ユーザーのつぶやきで政策面の言葉があったのは「原発」関連ですが、私のタイムラインも似ていました。また、各社の分析では経済政策が入っていますが、私のタイムラインではほとんど見られず、むしろ、漫画やアニメなどの規制問題が浮上しかねない「児童ポルノ法改正」の問題が多かったのです。

こうしたタイムラインに流れる文字の差は、日常の関心の差によるものだと思います。今の日本で「ネット選挙」導入だからといって、政治関連のつぶやきが極端に多くなるのか、または多様性がある情報がつぶやかれるのかと言えば、まったく違うのではないかと思わせました。積極的に政党や候補者の情報を入手するようなヘビー層がそれほど多くないのではないかと思ったのです。

検索エンジンで検索されたキーワードやTwitterでつぶやかれた文字と、参院選挙との関連で見てみても、党名で言えば自民党が最も多いのですが、私のタイムラインで「自民党」の文字はほとんど見ませんでした。ただ、検索キーワードで上位のもので私のタイムラインに現れた候補者がいました。「山本太郎」と「鈴木寛」で、この二人はGoogleのキーワード検索で2位と3位だったようでした。東京選挙区で出た2人の名前ですが、選挙終盤、この2人が当落線上にいると感じたのか、お互いの支持者がネガティブキャンペーンをしていたのです。つい、私もこの二人だけは公式サイトを見てしまったのです。

調査では「投票の際、ネットを参考にした」と答えたのは2割程度で、20代でも3割ほどでした。業界をあげて盛り上がりを見せた「ネット選挙」は現段階で「敗北」だったのではないでしょうか。選挙に「関心がある」層は高いものの、ネットを使ってまで「選挙」について調べようとする層は多くないことがわかりました。芸能ニュースのページビューがいつも上位にある日本のユーザーが、選挙が近いからといって選挙に特化した使い方をするとは思えません。

「ネット選挙」は世論を大きく揺るがすことはないとは思います。そして、知名度も実績も大きな党の後押しもない候補者が当選することの難しさも示しました。しかし、現段階で二割程度の人が「ネットを参考にした」と答えたということは、候補者が当落線上にいた場合には、非常に大きな武器になることも示したかもしれません。今回はネガティブな利用のされ方でしたが、その証明が「山本太郎」「鈴木寛」の2人が検索数で上位に来たことだったのではないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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