世界の主要都市には、必ず「チャイナタウン」がある。世界に散らばって生きる中国人は6000万人以上と言われる。大変な「中華パワー」である。かれこれ20年前に「特別の取材」で1ヶ月ほど日本人の友人とアメリカ中西部を回った。モーテル泊まりの旅で、夕食は「お互いが妥協して中華が中心」。どんな田舎町にも中華料理店があった。味もマーマー。愛想良いサービスでいやされた物である。
中国には「空を飛ぶ物は飛行機以外は何でも・四つ足は椅子以外は何でも食べる」と言う冗談があるが「食にかける中国人の情熱」には感服させられるのである。盛大な食欲を満たすために「偽食品」も多いのである。有名なのが「上海蟹」の偽物である。思わぬ所で取れた蟹が「上海蟹」に化けるのである。フカヒレの過半はゼラチン製とも言われる。また中国を代表する高級酒「マオタイ酒」も偽物が多いので有名である。「海外の空港の免税品店で買って帰るのが安全」と言う冗談もあるのである。偽の「乳幼児用ミルク」や違法農薬や抗生剤まみれの野菜や豚肉も常識なのである。そんな環境でも、中国人は「たくましく食べる」のである。
報道によると、最近の上海の流行は『中国漁船が尖閣諸島近海で取った』と称する「マグロ・サバ・タチウオ・カニ・エビ」などの鮮魚類である。「釣魚島鮮魚」として人気があり、驚くべき事に「毎日1トンが出回り・2倍の高値」という事である。当然これらは産地偽装・不当表示であるが、売る方も買う方も気にしていなようである。中国の人口は13億人余。その胃袋のパワーは大変な物である。その胃袋を満たすためには「何でもあり」なのである。生活レベルの向上とともに「高級食材の需要」が拡大しているのである。かなり以前「庶民が料理に使う油がナタネ油からゴマ油にシフト」しただけで「世界のゴマ油の価格は3倍」になったのである。中華料理と言えば「火と油の芸術」と言われる。各種の油と高熱の鍋を操りおいしい料理を作るのである。日本の料理人は「包丁一本さらしに巻いて…」であるが、中国の料理人は「油の壷と鍋を担いで…」なのである。
そんな中国でも「エビ・マグロ・サケ」などの刺身や寿司が大人気である。背景には「日本食の美味しさや健康志向」があると言われている。識者は『世界の水産物市場は40兆円。中国は20兆円の規模がある。「世界のエビの8割は日本が食べている」と言われた時代があったが、今や「世界のエビの4割は中国が食べているのである。この調子で行くと、いずれ世界の水産物を中国が食べ尽くすだろう」と言う。とても「海から取る」だけではまかないきれない量である。そこで日本の大手商社が注目しているのが「世界的な養殖ネットワーク作り」である。近い将来『主要な魚は養殖もの』という事になるかもしれない。今や「うなぎ」も絶滅危惧種である。生は今のうちに…である。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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