「糖質制限ダイエット」の罠 | NewsCafe

「糖質制限ダイエット」の罠

社会 ニュース
年に一度の「成人病検診」を受けに行く。メニューの中に「腹囲を測るメニュー」が入っている。「計測の時に腹をへこませるコマーシャル」を思い出すが「自然体で計測」したら1年で3センチ増・ベルトの穴ひとつである。日ごろの怠惰な生活を反省させられるが、とりあえず畏友の「男性で腹囲が85センチ・女性では90センチを越すとメタボトという単純な仮定は医学会の陰謀である・小太りが長生き」と言う乱暴な話を信じることにする。個人的にはメタボリック症候群を決める腹囲以外の数値は良好だし、週2回の運動は欠かさないからである。しかし世の中を見渡すと相変わらず「ヤセ願望」は強いのである。その根底には、悲しいかな「人間は見た目で人を判断する」と言う本能的な部分があるからだと思う。ここ30年余り「様々なヤセ方法」が生まれては消えている。

識者は『肥ると言う事はエネルギーのインプットとアウトプットの問題である。インが多くアウトが少なければ肥るのである。人間は「胃が欲するから多食するのではなく、脳が欲するから多食する」のである。痩せたければ脳を変えろ』と簡単に言うが…。やはり「食べる量を減らす」と言う物理的な結論に達するのである。そんな中でここ数年注目の「ヤセ法」が『日本人の主食であるご飯・パン・麺類などの炭水化物は体内で糖分に変わり肥満につながるから「主食を食べるのをやめる」そうすれば難なく痩せる』と言う「低炭水化物(糖質制限)ダイエット」と言う強引な方法である。友人の男性も「胃が小さくなり、1ヶ月で5キロ痩せた。ステーキやハンバーグもOK・好きなケーキも食べている」と豪語している。確かに「ベルトの穴2つは痩せた」と言う感じである。

ところがこの「低炭水化物(糖質制限)ダイエットが寿命を縮める」と言う疫学的な調査結果が発表されたのである。それによると『16.000人の志望者を調べ・糖質の摂取量が最も少ないグループと多いグループの死亡率を比較した・糖質の摂取量が少ないグループの死亡率が1.3倍』と言うことである。「楽をしても痩せられるという夢のダイエット」を実施中の諸兄妹にはショックな話である。専門家は『この方法には無理がある。この方法は結果として「脂肪のとりすぎによる動脈硬化とタンパク質の採りすぎによる腎臓の負担の増加」を招く。炭水化物は細胞の機能を保ち、免疫力を維持する大切なものなのである。炭水化物の摂取が少ないと病気になりやすく・頭もボーッとする。当然寿命が縮まる」と言うのである。このダイエットに取り組んでいるI嬢やH君に此の事を教えるべきか否かは悩ましいところである。専門家のアドバイスは『炭水化物を健康的に減らすことが肝要である。力を出したい昼職は普通に・朝と夜は半分に・間食の炭水化物はやめる・適度の運動を』である。これなら出来そう…。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
page top